陸翊 と 大喬 は 魯粛 の 邸宅 で 一晩 を 過ごした。魯粛 は 夜 を 徹して 人 を 使い、粮食 を 積み込ませた。翌朝、大午前 まで に やっと 積み込み が 完了 した。陸翊 が 来た 時、馬車 は 二台 で 七人 だけ だった が、帰る 時 は 十台 の 馬車 になり、三十一人 も 増えた！この三十一人 は 全て 健康 で 若くて 優れた 青年 たち だった。老婆婆 は 魯大 に 他 の 三十人 を しっかり 管理 させ、全員 が 陸翊 の 言う こと を 聞く よう 命じた。そうで なければ、帰って から 全員 が 家訓 を 受ける こと になる と 言い渡した。陸翊 は 感動 し、即座 に 魯大 を 県尉 に 任命 し、居巢 の 治安 や 武力 の 仕事 を 担当 させた。

出発 前、魯粛 は 陸翊 が 背負って いる 弓 が 自作 の 竹弓 で、佩刀 も ぼろぼろ だと 知り、直ちに 良い 弓 と 百 本 の 青銅 の 矢、一 振り の 新しい 大剣 を 贈った。陸翊 は 遠慮 せず に 感謝 して 受け取った。この 乱世 では、武器 が なければ まるで 食い物 に なる 羊 だ。もちろん、陸翊 も 手ぶら では なかった。彼 は 老婆婆 と 魯粛 に もし 何か 危険 が 迫った 場合、家族 全員 で 居巢 に 移住 する よう 伝えた。居巢 では、彼 が 生きている 限り、必ず 魯家 の 人々 の 安全 を 守る と 約束 した。

彼 が こう 言った の は、今回 曹操 が 徐州 に 復讐 し、四つ の 県 を 陥落 させて 撤退 した ものの、次 は 下邳 に も 影響 が 及ぶ だろう という 予測 に 基づいていた。歴史 では、この 時 曹操 は 徐州 を ほぼ 全て 掌握 し そう に なり、大虐殺 を 行った。この 時 の 残虐 さ が 下邳 に も 及び、曹操 は この 後、徐州 を 完全 に 支配 する ため に 劉備 や 呂布 を 打ち破った が、それでも 徐州 を 完全 に 制圧 する こと は できなかった。そのため、曹操 は 臧覇 に 徐州 を 管理 させる という 折衷 案 を 思いつき、臧覇 は 徐州 の 土豪 となった。曹操 の 死後 も、この 状態 は 続いた。

老婆婆 と 魯粛 は 理由 が 分から ず 戸惑った。下邳 圩台 県 は 肥沃 な 農地 や 森林 が あり、旱魃 の 中 でも 豊作 を 維持 し、魯粛 は よく 山 へ 狩り に 出かける ほど だった。対して 居巢 には 何 も なかった。だからこそ、陸翊 は ここ へ 粮食 を 借り に 来た の だ。しかし 理由 が 分から ない まま、老婆婆 と 魯粛 は 陸翊 に 感謝 した。

陸翊 は 借りた 粮食 と 人馬 を 連れ 居巢 へ 戻った。居巢 の 百姓 たち は 陸翊 が これほど 多く の 粮食 を 借りて きた こと に 目 を 輝かせた。中には それ を 奪おう と する 者 も いた が、魯大 たち が 十数人 を 斬り捨てる と、皆 大人しく なった。それ だけ で は なく、今回は 溝渠 や 水庫 の 掘削 に 力 を 入れる よう に なった。飢え を 我慢 する 代わり に 水利 工事 を 手伝う 方 が 食べる こと が できる と 分かった から だ。近隣 の 県 に 流れ て いた 百姓 たち も 次々 と 戻って きた。十二月十五日 に は 五つ の 町 の 水庫 が ほぼ 完成 した。

この 日、陸翊 は 魯大 に 居巢 の 管理 を 任せ、自分 は 大喬 と 諸葛若雪 を 連れて 馬車 で 舒県 へ 向かった。半月 前 に 太守 府 から 十二月三十日 まで に 舒県 へ 戻る よう 指示 する 信函 を 受け取った から だ。この 日 の 夜、太守 劉康 は 慣例 に 従って 太守 府 で 県令 以上 の 官員 を 招いて 宴会 を 開き、一緒 に 新年 を 迎える の だ。この 時代 に も 春節 が あり、「元日」と 呼ばれ、一年 の 最初 の 日 として 祝われた。

陸翊 は 馬車 を 走らせ、諸葛若雪 と 大喬 を 連れて 舒県 南門 へ 到着 した。三人 は 皆、半年 ぶり の 舒県 に 感慨深い 思い を 抱いた。居巢 で の 苦しい 日々 が 嘘 の よう に 感じ た の だ。

その 時、群衆 が 騒ぎ出した。「なんて 立派 な 若者 だ！」「どこか で 見た こと が ある 気 が する！」陸翊 も その 視線 の 方向 を 見た。すると、彼ら の 後ろ で、長袍 を 着た 青年 が 瘦せた 馬 を 左手 で 引き、右手 に 長刀 を 持って こちら へ 向かって きた。青年 は 力強く、虎 の 背中 と 熊 の 腰 の よう な 体格 を 持ち、顔立ち も 鋭く、冷酷 な 印象 を 与えた。見た だけ で 猛将 と 分かる 姿 だった。

陸翊 は 驚嘆 した。この 飢饉 の 時代 に こんな 体格 を 持つ とは、家庭 が 並外れて 豊か だ と 思った。彼 は ずっと 魯大 が 猛将 の よう だ と 思って いた が、この 青年 と 比べる と、魯大 も 劣る くらい だった。

青年 は 周囲 の 人々 の 視線 を 無視 し、ただ 城門 の 方向 を 見ていた。彼 が 陸翊 の 側 を 通り過ぎる 時、城門 内部 から 馬 の 蹄 の 音 が 聞こえた。普段 威風堂々 と している 城門 守衛 たち が 急いで 道 を 開けた。すると、城門 から 健康 で たくましい 黒馬 に 乗った 若者 が 笑い ながら 出てきた。

若者 は 両手 を 広げて「伯符 兄！」と 声 を かけた。群衆 は 大騒ぎ した。「周家 の 小公子 だ！」「周瑜 周公瑾 だ！」「なんて 美しい ん だ！」と。

「なるほど、周小公子の友人でしたか、だからこの若者もこんなに屈強なんですね！」

陸翊は特に目を引かれた。馬を引き、大刀を持つ屈強な青年を見たのだ。

なるほど、彼は孫策、字は伯符だったのか！

馬に乗っていたのは、なんと周瑜ではないか！

これは陸翊が初めて孫策と周瑜に会った瞬間だった。

二人は本当に非常に英姿颯爽としていた。

彼らは、前世の世界においても間違いなく二人の大イケメンであり、多くの美女を魅了する存在だっただろう。

周瑜は孫策の前まで猛然と駆け、急いで手綱を引いて黒馬を止めると、黒馬から飛び降りた。

元々無表情だった孫策は痩せ馬の手綱と手に持っていた長刀を放し、先ほどの冷たい表情を一変させて大笑いしながら周瑜を抱きしめ、まるで子供のように跳ね回っていた。先ほどまでの圧迫感は全くなかった。

抱き合った後、周瑜は孫策の肩に腕を回し、笑いながら城内に向かって歩き出した。

城門の守衛たちは皆一礼した。

周瑜は腰からいくつかの銅銭を取り出し、守衛たちに投げた。

群衆は羨望の眼差しを向けた。

陸翊は周瑜と孫策が城門内に消えるのを見てから、馬車の外の幕を開けて、中にいる大喬と諸葛若雪を見た。

二人は周瑜と孫策を車窓越しに見ようとはせず、手を振りながら何かを話し合い、興奮して城内で何を買うかを議論しているようだった。

諸葛若雪は陸翊が見ているのに気づき、興奮して言った。「夫君、何か食べたいものはありますか？城に入ったらすぐに買いに行きましょう！」

陸翊は笑って言った。「私は特にこだわらない。君たちが食べるものを私も食べるよ。それに、今夜は君たちと一緒に過ごせない。太守のところに行かなければならないんだ。だから、好きなものを選んでくれ。」

少し間を置いて、陸翊は続けた。「準備ができたら、城に入ろう。」

そう言って、幕を下ろし、馬車を駆って城内に入った。