しいずん1 終幕

僕は全員を起こす。そして、ここにいても埒が明かないとなり、思い切って外に出る。まだ朝の4時くらいだったので、人は少なかったが、人と会う時に、おぞましい顔をされる。それはそうだろう。血まみれの人間が、揃いも揃って左腕がなくなっていて、右目に光がないのだから。それで笑って話しているとか、恐怖でしかないだろう。


すると、誰かが通報をしたのか、警察がこちらに来る。まぁ…いいけどさぁ…


「ちょっと署まで…って、なんでそんな風に…まぁいい…署で聞こう。」


良かった。融通が効く人で。


そして、僕たちは警察署に同行して、名前を聞かれる。これ、やっぱり個別なんだね。


「三風 楓です。」


検察官が二人いたのだが、何故かざわつく。うぇ?なんかやった?


「宮田って人を知ってるか?宮田 飛鳥。」


「え、えぇ…僕の親友です。それがどうかしたんですか?」


頭を抱える検察官。え?なにかしたぁ?


「もしかして…信じたくはないのだが…デスゲームに巻き込まれて、一回自害したことがあるか…?」


うん。ある。


「はい。あります。それがどうしたんですか…?」


「どうしたんですかって…科学的に証明できないじゃないか。死んだことを証明できないからなぁ…」


自分に聞こえる音量で独り言を言ってくる。おい!なんなんだよ!

そんな事をいってくるんだったら、見せてやんよ!


「【雷鬼】使用。どれくらいの威力が良いですかぁ?」


「なにを…言っているんだ?何をしようとしている。」


一気に警戒態勢に入る。まぁそうだろうね。


「じゃあ、静電気レベルにしとくかぁ…ちょっと手を出して下さい。科学的に証明できないことだってあるんですよ。」


検察官が恐れながら、手を出してくる。そして、そこに手を添えて電気を流す。


「痛っ…なんで起こった?」


「デスゲームの役職ですよ。僕の役職は雷鬼。電気を操れます。分かりましたか…?恐らく、GMはを使ってます。いまじゃ考えられないのが、未来で作られてるんですよ。だから、現段階では解析不可です。」


しっかりと言い切る。それに検察は無理やり腑に落ちたようだ。


「まぁまぁまぁ…そういうことにしておこう…じゃないと、未来から来たり、過去から来た人が、現代にいるわけがないからな。」


他の人のことが分かっているようだった。だから、大久保さんが、東京ダイバーシ◯ィが分からなかったのも納得だ。


「帰っていいですか?」


「ダメだ。」


やっぱり。はぁ…夕方までいなきゃいけないのか。と覚悟した時、新人らしき人がすっ飛んできた。何だぁ?


「GMから、デスゲームのGMから、電話が来ましたぁ!調査している全員に電話を渡せって…」


新人から検察がスマホを奪い取る。そして、スピーカーにして怒鳴りつける。


「おい!なんて極悪非道なことをした!今お前はどこだ!捕まえに行ってやる!」


『おうおうおう…そんなに興奮すんなって。僕たちは単なる実験をしていただけだから。あと、あいつらはデスゲームに巻き込まれて、僕たちのせいで、殺し合いをさせただけだから。勘違いすんなよ?だからあいつらは無罪だ。オッケー?オッケー!はい!じゃあね!』


有無を言わせず切られる。検察相手にすごいねぇ…


「わかった…あっち側の意向だ…君たちを開放する…」


さっきとは代わり、腑に落ちない様子で、僕たちを開放する。


「はぁ…家に帰りましょうか…」


疲弊した様子で涼気さんが言う。あれ?涼成さんは…あぁ…そういえばそうだ…あの人指名手配されてたんだったわ。そりゃ警察行ったらそうなるわ。


「じゃあ、僕は家に帰ります…疲れた…」


そう言って、帰途へとつく。本当にボロボロだし、疲れたし…でも、おばあちゃんに心配をかけちゃったからな…あぁ…若干貧血気味なのウザいな…


自分に降り注いた災難を思い出す。そして、家に帰る。


「ふぅ…」と大きく息をつく。意を決して鍵を開ける。その音に気づいたおばあちゃんが僕のもとに走ってくる。


「大丈夫かい?!あぁ〜そんなに怪我をしちゃって…心配したんだよ?」


僕の肩を掴んで、語りかけてくる。


「大丈夫だよ。ちょっと色々不便だけど…」


「ところで、あの2人は誰だい?」


「へ?」


もしかして…振り返ってみる。すると、案の定大久保さんと氷室さんが居た。


「いや。だって僕たち居場所ないし。」


「そうのら。仕方ないのら。」


あぁ…話す必要がありそうだ…


「おばあちゃん…実はね…」


私は今までのことを包み隠さず話した。話し終わったときにはものすごく衝撃を受けていたようだが、すぐに笑顔に戻り、


「分かった。2人を迎え入れよう!でもそのかわり、バイトとかして、お金を稼いでくれるかな?」


がめついな…そう思ったが、2人は快諾した。そうして、4人住みとなりましたとさ。あはは…


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

科学的に証明できないことだってあるんですよ。


どうもこんにちは。むぅです。


第一章!完!


以上!

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