第12話 温海は夕を楽しませたい
温海に泳ぎを教える事となった。
「夕から聞いたけど、泳げないって本当?」
「ほ、本当よ……」
温海は恥ずかしがるけど、別に気にする事じゃないと思うけどね。
「別に気にする事じゃないよ」
「そ、そうだけど……」
「わたしだって高校に入ってからは泳いでないし、教えられるほどじゃないから」
「……ならいいわ」
温海はわたしが気を使っている事に気付いてるけど、別にいいかな。
わたしはまず浮き方から、けのびなど簡単な事を教える。
これぐらいなら、温海もすぐにできたけど……夕をもてなすはずなのに
なんか、わたしと温海が楽しんでるだけな気がする。
「ねえ、考えたら夕をもてなしてないよね」
温海と小声で話すけど温海も
「そうね、わたしたちだけが楽しんでるだけよね」
と温海も同じ事を思ってた。
「でも、夕はわたしと温海が楽しんでるのを見て、ニコニコしてるよね」
「あの笑い方は本当に楽しんでる顔ではあるわ」
確かに楽しんでいる顔なのはわたしでも判るけど、なんだろう……なんかお母さんが
泳げない妹に泳ぎを教えている姉に見えるように思える。
「なんか、自分の子供を見る母親って感じだよね」
「確かに、そんな感じよね」
「夕自身は嬉しそうだけど……これいいかな?」
「きっと、自分の誕生日に一緒に居てくれること自体が嬉しいのよ」
「そうなのかな」
確かに、それだけでも楽しい言うのはわかるけどね。
ただ、そうであっても一緒に楽しんでる方がいいな。
「夕も一緒に居た方がいいよね」
「……そうね」
「それじゃ、夕も呼んで来よう」
「ええ、そうね」
わたしと温海はプールサイドに座って、わたしと温海を見ている夕を呼びに行く。
「夕も一緒に、温海の泳ぎを教えよう」
「え~わたしは~見てるだけでいいよ~」
「夕の誕生日をもてなすためなんだから、そう言わずにさ」
「そうよ、夕をもてなすためここに来たんだからね」
わたしと温海がこう言うと夕は
「そうだよね~わたしのためだったよね~」
といて、夕もプールに入った。
その後、わたしと夕と2人で温海の泳ぎを教えたけど、ポロリはないけど
温海がけのびで夕の方へ向かったら、温海の手が夕の胸に触れるお約束はあったけどね。
「気づいたら~こんな時間だね~」
プールに来たの午前中だったけど、気づいたらもう午後に。
どおりでお腹が空くはずだな。
「お腹が空いたって思ったら、こんな時間なのね」
「そうだね、何か食べたいよね」
屋外プールがオープンしてる時は、売店で色々売っていて食べられるけど
屋内プールにも軽食は食べられたかな。
「確か軽食を食べられたかな」
「だったら、それでもいいわ」
「ただ、1度着替えないとダメなんだけどね」
「それは仕方がないわ」
「でも、また着替えて入るのは面倒だよね」
「でも~屋内プールは~飲食禁止だよ~」
夕が言うとおり、屋内プールは飲食禁止。
かと言って、一度水着を脱いでまた着るの面倒だし
濡れた水着をまた着るのもなんかね。
「うーん、どうしよう」
「そうね、プールはここまでにするか、食べるのは後にするかだわ」
「そうだね、どうしようか」
時間を見ると13時30分過ぎで、プールに来て2時間半ぐらいになっている。
外はまだまだ暑いし、温海にはもっと泳ぎを教えたいし、なにより夕が楽しんでいない。
「ねえ、夕は楽しいの?」
温海がまた夕に聞くと
「もちろんだよ~2人を見てるだけで~楽しいよ~」
と夕はやはり同じように言う。
「ねえ、夕。わたしと文乃は夕の誕生日で、夕を楽しめたいの」
「それはわかってるよ~。何度も言うけど~わたしは~2人が一緒居てくれるだけで嬉しいよ」
夕は笑うけど、温海は
「そうだとしても、あたしが満足しないから!」
と温海は声を出した。
「もう、人が少ないからって~大きな声を出さないでよ~」
「ごめん、つい……」
「でも~確かに~わたしを楽しめるために~ここに来たんだよね~」
「そうだけど、いざ夕を楽しませると言っても、よくわからないんだけどね」
わたしも夕を楽しませたいとは思っているけど、正直どうしたらいいかわからないんだよね。
夕は本人が言うとおり、わたしと温海と一緒に居れば十分楽しそうだからね。
「確かに……よくわからないよね……」
「温海は付き合い初めはどんな感じだったの?」
「そうね、一緒に学校へ行ったり帰ったり、お互いの家に遊びに言ったり
イチャイチャしたり……キスしたり……と、とにかく、わたしも夕もこれで楽しかったわよ」
後半になると声が段々と小さくなって、温海の顔も赤くなったけど、最後は勢いかな。
でも、これって……今と一緒じゃ。
「なんか今と同じじゃない?」
「た、確かに、文乃が加わっただけよね……」
「つまり結局は夕がいうとおり、わたしと温海と一緒に居れば十分って事だよね」
「……結局はそうなるわね」
夕を楽しませると言ったけど、結局は夕の言ったとおりにわたしと温海が一緒に居ればいいだけだった。
「だから~2人がいるだけでいいって~言ったでしょ~」
「そうだよね。でも、なんかご馳走になってばかりだし、温海の気持ちもわかる」
「そ、そうよ、ご馳走になってるばかりから、気になったのよ」
「あれは~両親がそうしたいだけだよ~。
ほら、わたし~一人っ子だから~温海ちゃんと文乃ちゃんが来ると~はりきっちゃうんだよね~」
うーん、そんなものなのかな?
でも、こちらとしては夕の家族は気を使わなくてもいいから、気楽でいいんだけどね。
「とはいえ、温海とわたしがイチャイチャしてるのもなんですから、恋人同士のお2人でイチャイチャしてくださいな」
「もう、文乃はまたそう言う事を」
「でも~文乃ちゃんが言うとおりだし~イチャイチャしようね~」
そういって、夕は温海を抱きしめる。
「ゆ、夕、な、なにを!?」
「何って~イチャイチャだよ~それに~泳ぎの練習もしようね~」
そう言って、夕は温海を抱いたまますーと泳ぐけど……よくこれで泳げるな。
話から泳ぎは普通ぽい感じだったけど……。
わたしは夕の胸元を見たけど……関係はないか。
その後は温海は夕に手を取られながら、バタ足をしているけど泳ぎを教えてるお母さんにも見える。
水着が大人ぽいと言うかお母さんぽいく見えるのか。
まぁ、ほのぼのした風景だし、恋人同士で楽しんでいる様でわたしもお腹いっぱいだけど
時間を見ると14時30分になったので、流石にお腹がかなり空いて来た。
「2人共、そろそろ出ない?お腹も空いたし」
「そうね、そろそろ出ましょう」
「だね~十分楽しんだしね~」
わたしたちはお腹が空いたのでプールを出て、更衣室で着替える。
そして、軽食コーナーを見ると……営業が終わっていた。
「ありゃりゃ、14時までだったか」
「そうみたいね」
「え~と、屋外プールが始まるまでは~14時までとかいてあるね~」
「事前に確かめなかったのが悪いか」
「仕方がないわ」
「確か~プールの前にも~お店があったよね~」
「駄菓子屋さん見たい感じの店があったよね」
「コンビニもちょっと歩いたらあるわよ」
「コンビニもいいけど、久しぶりに駄菓子屋さんで駄菓子を買うのもいいかも」
わたしの通っていた小学校の前には駄菓子屋さんがあったけど、中学の頃に
経営していたおばあちゃんが亡くなって閉店したんだよね。
「久しぶりにって事は文乃は行った事あるの?」
「小学校の時、学校の前におばあちゃんが経営する駄菓子屋さんがあったよ」
「そうなんだ~わたしの所には~なかったよ~」
「あたしと夕は小学校は違ったけど、あたしの所もなかったわ」
もしかして、駄菓子屋さんがあったのって珍しいんだ。
「そうなんだ。ただ、その駄菓子屋さんも中学の時にやめちゃったけどね」
「そうなんだ~」
「漫画でしか読んだ事が無いから、行ってもいいわ」
「そうだね~」
「それじゃ、行こうか」
わたしたちはプールを出ると、少し歩いた所にある駄菓子屋さんに行くと
小学生と思う子供たちが集まって、駄菓子を買っていたのだった。
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