世界的巨匠の世界的名言

　とにかく世界的な巨匠である、白澤濁。そんな世界的な存在である世界的巨匠「世界の白澤」の世界的名言を、世界的に有名な箇条書き方式で列挙していく。

①眠る前にコーヒーを飲むのは、やめた方がいい。昨日気づいた。

　白澤が日記に記した名言である。彼の鋭い洞察力が、真理を見抜いた瞬間である。この時、歴史が動いた。この教訓を元に作られた映画が、『八人の眠れない百姓』である。

②繰り上げ当選の喜びは、何事にも変え難い。

　白澤濁は映画監督であったが、7回政界に進出している。彼は選挙戦において、7回連続の繰り上げ当選を果たした。当選後にはすぐ議員を辞めることで有名な白澤だったが、その理由を問われた時に出た名言が、②である。

　彼は、普通の当選よりも、繰り上げ当選をすることにこだわった。一部の噂では、選挙戦において彼は、自身を繰り上げで当選させるために、様々な裏工作を行った、ということである。自身の信念をどこまでも貫く姿勢。これでこそ世界的な巨匠、「世界の白澤」である。

③この試合は事実上の準々決勝だ。

　白澤はeスポーツを観戦するのが趣味であった。この名言は、マリオテニスの世界大会で、平等院選手と鳳凰堂選手のトーナメント2回戦の試合開始前に、パソコンの前で呟かれた名言である。隣で抹茶フラペチーノを飲んでスマホをいじっていた、娘の白澤泥子がたまたま聞いていたため、後世にまで残った貴重な名言である。ちなみに、試合結果は平等院選手の勝ちで、彼はその次の3回戦で事実上の3回戦を戦い、敗北している。

④俺たちは映画を撮ってるんじゃない。その・・・、映画じゃない何か的なそれを、あえてスタンス的にそれな映画以外の要素におけるアレで、実験的な日記をスタンス的なそれでやるみたいな、スタンス的なあれとスタンス的なそれの・・・、つまり、その、あれだな、そう！　俺は、アバターを撮ってるんだ！

　映画『蜘蛛の巣多い城』を撮影している際、主演のトーマスが演技の途中、何度もトイレに駆け込んで18回NGを出した。その時飛び出した名言である。白澤の映画にかける情熱が、この名言の中に凝縮されている。彼は完璧主義者で、『蜘蛛の巣多い城』を完成させるまでに、8年かかっている。トーマスは日本語が喋れず、また役者でもなかったため、セリフが覚えられなかったことと、トーマスのお腹がゆるく、彼が演技中に何度もトイレに駆け込むことが災いし、NGテイクが1日に平均300回以上出た。白澤の完璧主義とトーマスの虚弱体質、シンプルキャスティングミスなどが重なった結果、映画完成に8年を要した。構想32年2ヶ月と3日、撮影8年の16分映画『蜘蛛の巣多い城』は、「史上最低のプライベートフィルム」という世界的な評価を得た。

⑤眠る前にコーヒーを飲むのを、やめなければならない。

　白澤には、どうしてもやめられない悪癖があった。彼は、それを深く嘆いていた。世界的な嘆きである。彼は眠る前にコーヒーを飲むのをやめたいと、何度も思い、何度も今度こそやめようと試みたが、生涯やめることができなかった。彼はその悪癖のために年中寝不足で、映画撮影中ほとんど眠っていた。彼の眠る前にコーヒーを飲む癖は、映画製作の大きな妨げとなった。

　ちなみに、この教訓を元に製作された映画が、『明日朝早い時ほどよく飲む』である。

⑥映画というのは、大勢の力が集まってそれを集結させた時に現出する、素晴らしい悠久の時を超えた、現出する、何かスタンス的なものを汲み取って、井戸の底から、みたいなそれは、鋭敏なそのスタンス的なそれを、喉の奥の方から込み上げるような、井戸の底よりももっと、その、深いスタンスを維持しつつ、井戸の底から湧き出るそれが、それでいて、スタンス的な井戸における底的な、それでいて、かつスタンス的かつ井戸的な、井戸スタンス的かつ底的かつ、それでいて井戸的かつスタンス的かつ、スタンス的それ的井戸スタンス底的かつ、それ的なそれ的かつ、それ底的かつスタンス井戸的かつ、井戸スタンス的かつそれ的なそれ的かつ井戸スタンス的かつ底井戸底スタンスそれ底井戸井戸スタンス井戸底それ底それスタンス井戸底それスタンス底的なそれ的なそれかつそれが、あの、それでいて、実はそれが、かつ、それでいて・・・、つまりアバター。

　映画『青耳毛先生』のインタビューを受けた際に、白澤の口から飛び出た名言である。彼の世界的口は、「映画というのは」の部分で7回噛み、インタビュアーを含め、その場にいたスタッフ全員に、世界的な気まずさを味わせた。異様な世界的緊張感が世界的現場に張り詰める中、白澤は「スタンス的な」を連呼して、「スタンス」という言葉を世界的な口に馴染ませた。そして、世界的な頭の中で、世界的な文章を組み立てた。彼は、今から話す内容とその文言を吟味する時間を、しっかりと持った。その上で、何度も激しく噛みながら、長々と意味不明な文言を現場に放ち続け、その場にいた全員の度肝を抜いた。実に含蓄に富んだ、世界的な名言である。

　この時の体験を元に製作された映画が、『地獄と地獄』である。

⑦やはり、眠る前にコーヒー飲みたい。

　この経験を元に制作された映画が、『飲む』である。