第12話 魔物討伐
クリスとヒエイは朝食を終えて宿屋の庭に戻ると再び練習を始めた。
「どう?」「魔力操作、出来そう?」
クリスがそう尋ねると、ヒエイは難しそうな顔で答えた。
『魔力を感じることはできたんだけど』『魔力の操作があまりうまくいかなくて……』
ヒエイが魔力操作に苦戦している最中、隣でクリスは芝生に腰を下ろして、羽ペンを走らせながら何かを書き留めていた。気になったヒエイは、練習の手を止めてクリスに問いかけた。
『さっきから何やってるの?』
「防御魔法作ってる」「これがまた難しくて」
クリスはそう言うと、ぶつぶつと何かを言いながらペンを走らせた。
しばらくしてヒエイは再び練習に戻り、クリスに魔力操作のコツを尋ねる。
『魔力操作、コツとか無い?』
「コツとか言っても……」
クリスはしばらく考えた後、ふと思い出したように口を開く。
「あ……」「あるよコツ!」「呼吸だよ!」「息を吸って、息を吐いた時に魔力操作がしやすくなるよ」
ヒエイはクリスに言われた通りに試してみた。するとヒエイの頭の中でピッと音か鳴った、ヒエイがステータスを確認するとそこには『魔力操作』の文字があった。
『できた……』『やった~~~』
ヒエイは魔力操作が出来るようになった事に喜びガッツポーズをした。
「ヒエイおめでとう」
クリスはガッツポーズをし、喜ぶヒエイの肩に手を置きそう言った。
2人はしばらくその余韻に浸った後、クリスはヒエイに提案した。
「そろそろ冒険者ギルドに行かない?」
ヒエイは丁度切りのいい所だったので稽古を中断した。2人は宿屋を出て報酬を受け取るために冒険者ギルドへ向かった。
2人はギルドに着くなり解体場へ向かった。解体場に入るとカー爺さんが、奥から出て来た。
「よく来たな、解体は終わっている素材はどうする」
「2頭分の肉以外は売却で」
クリスがそう言うとカー爺さんは解体場の奥へ行ってしまった。
しばらくするとカー爺さんは小さい袋を持って奥から出て来て、持っているその袋をクリスに渡した。
クリスが袋を受け取るとその袋はずっしりと重かった。
「中に金貨が26枚と銀貨2枚が入ってる」「そん中にクエスト報酬も入っているから」
カー爺さんはそう言って、クリスが話すひまもなく忙しそうにまた奥へ行ってしまった。
今度はすぐに来たが、それなりに量がある肉を持って来た。
それをクリスの目の前にある机に置いた。
『す……すごい量』
ヒエイは肉の量に驚き言葉を漏らし、クリスも肉の量に驚きつつも肉をアイテムボックスにしまった。
2人はカー爺さんにお礼を言うと解体場を後にして、ギルドの中に入って行った。
クリスとヒエイはついでに新しいクエストを受けようと、クエストボードを見てクエストを探していた。
「そっち何かいいのあった?」
『ない』『どうする?』『昨日と同じクエスト受ける?』
ヒエイがそう言うと、クリスは唸りながら別のクエストを探していた。
『これなんかどう?』
そう言ってヒエイがクエストの紙を剥がしてクリスに見せた。
討伐依頼Fランク
ラビッホーンの10匹討伐
証明部位 右の耳
報酬 銀貨1枚
違約金 なし
追加報酬 討伐数に応じて
「いいんじゃない、これにしよう」 「それと昨日と同じでボアの討伐も受けよう」
『おう、そうするか』
ヒエイはボア討伐のクエストの紙を剥がして、ラビッホーン討伐のクエストの紙と一緒に受付けへ持って行った。
受付けに行くと受付のお姉さんがいて、その隣には殴られてボコボコの男がいた。ヒエイは若干驚きつつも受付のお姉さんにクエストの紙を見せラビッホーンの生息地について尋ねた。
『ラビッホーンの生息地について聞いてもいいですか?』
ヒエイがそう言うと、隣の殴られた後の男がこちらに近づいて来た。
「お前さんが昨日の将来有望そうな新人か」「たしかに結構遣りそうだな」
『あなたは?』
ヒエイは少し引き気味で尋ねた。
「俺は……」
男がそう言いかけると、受付のお姉さんは男を押しのけ、割って入ってきた。
「この人は昨日の試験官をサボったグレ」
受付のお姉さんの顔は笑顔だったが、分かりやすく怒っていた。
「ラビッホーンの生息地でしたね」「ラビッホーンの生態はボアとほとんど一緒で草原にいますよ」
『なるほど、ありがとうございます』『この2つのクエストを受注します』
そう言ってヒエイは2つのクエストを受けた。クリスとヒエイが冒険者ギルドを出ると空模様が怪しい雰囲気だった。
「なんか雨降りそうだね」
『だな、早くクエスト終わらせようぜ』
「うん」
そう言って2人は急いで草原に向かった。
2人が街の外の草原に着くと2人は武器をアイテムボックスから取り出し、ヒエイが魔物の特徴を確認するためにクエストの紙を取り出した。
『ラビッホーンの特徴はウサギ見たいな見た目に角が2本だな』
「ウサギは小さいから探すの大変だな〜〜」
クリスは嫌そうに言いつつ二人で探し始めた。
中々見つからないのでヒエイとクリスは二手に分かれて別々に探すことした。
探し始めて数分が立つとクリスがそれらしき生き物が動くのを見つけた、急いで草むらに隠れると、クリスはすかさず鑑定した。
ラビッホーン
魔物
Lv1
HP3/3
MP7/7
SP9/9
筋力 :1
防御力 :1
敏捷性 :13
器用値 :12
精神力 :1
幸運値 :0
スキル 高速移動Lv1
穴掘りLv1
クリスはすぐに小さいな声で魔法を唱えた。
「ライトアロー」
するとクリスの手に一本の光の矢が生成され、ラビッホーンへ光の矢が放たれた。
矢は、虫を食べてるラビッホーンの背中に命中して、「キー」と声を上げて倒れた。すると、その声を聞きつけたのか数匹のボアがクリスの方によってきた。
「さっきの声を聞きつけて寄ってきたのか」
「ライトアロー」
クリスは5本の光の矢を生成し、ボアに向けて放った。
放たれた矢の4本がそれぞれのボアに命中したが、もう1匹のボアは矢を避けてクリスの方へ突進して来た。クリスはボアの突進を左に避けた。そして、腰に下げていた剣を抜き、ボアの首目掛けて剣を振り下ろした。
「フギーーー」
ボアは叫び声を上げその場に倒れた。クリスは剣に付いた魔物の血を振り払い、剣を腰の鞘に収めた。クリスは仕留めた魔物をアイテムボックスにしまい、その後もしばらく魔物を探したが見つからない為、ヒエイとの合流地点に向かったした。
一方、ヒエイは偶然にも、ラビッホーンの巣穴を見つけた。巣穴は地面から斜めに伸びていて中を覗くとラビッホーンがいた。
『中にいるな…』
ヒエイは急いで銃(M1911)を構え、おびき寄せるため威嚇射撃をした。すると巣穴から怒ってラビッホーンが出て来た。ヒエイはラビッホーンに向けて銃を発泡する。銃は大きな音を立て、弾が発射された。発射された弾がラビッホーンの額に命中し、ラビッホーンはその場に倒れた。ヒエイが倒したラビッホーンを回収しようと巣穴に近づくと、巣穴にまだいたようで9匹のラビッホーンが勢いよく飛び出して来た。ヒエイは急いでホルスターから銃(M1911)を抜きラビッホーンを撃った。ヒエイは巣穴から出て来た5匹のラビッホーンを仕留めた。しかし、1発の弾を外してしまい、急いでマガジンの交換をしたが間に合わず、素早いラビッホーンは散り散りに逃げてしまった。
『逃げたか……』
ヒエイはため息を付いた。
『探知系のスキルが必要だな…』
ヒエイはそう言って、倒したラビッホーンを回収しに行くのだった。ヒエイはその後も付近を探したが見つからず、諦めてクリスとの合流地点に向かった。
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