私報告書
焔火
自分
私?
唐突だが、あなたは人生を充実させる最も重要な要因は何だと思われるだろうか。今日か明日の夕飯ぐらい適当に考えてほしい。もしかしたら真剣に考えている人もいるかもしれないが。
金? それはそうだ。なければその日暮らしの自給自足だ。私には到底無理だ。
健康? 何をするにしても健康でなければ満足にできない。私は皮膚があまりよくない。皮膚病と友になることはなさそうだ。共にはしているが。
仕事であったり将来の夢? 確かに。人にもよるだろうが人生の1/3程を過ごす時間だ。
友人、家族、恋愛? 人間関係。絶海の孤島にいない限り常に必要だ。
幸福であること? 少なくとも積極的に不幸でありたい人間はいないだろう。
挙げればキリがない。だが、私はこう思っている。「虚構を虚構としてそのまま受け取る能力」。私にはないが故に。
人生の目的とか将来の夢とか社会とか幸福とか。恐らく、そういうものを目指すのが社会でいう人なんだろう。他人事に感じているのである。
将来の夢なんて、宿題の作文のために適当に捻り出した。小学の時に「陸上選手」なんて書いた記憶があるが、別に運動が好きなわけでも見るのが好きというわけでなかった。それに向けて努力していたわけじゃない。同じ中学に通っていた姉曰く部活強制と聞いて、なんとなくやらなくてはならないのであれば陸上部だと思っていたのかもしれない。なぜ陸上部だったのか今でもわからない。賽を投げて決めたのだろうか? 結局強制ではないため遠慮なく帰宅部になったが。
面白いのがここから。中学、高校とも別の将来の夢を書いていたのである。専門学校は完全にやれそうなことで決めていた。言うまでもないが、過去の将来の夢なんてかすりもしていない専門学校だ。
幸福になりたいという考えが薄い。無論快楽は感じられるが、幸福なんてわからない。現状でも幸福だと思われると考えるだけだ。最悪ではないと感じているのは間違いないが。
ならなぜ生きているか。回答は簡潔だ。(今のところ)死の苦痛と想定されうる生きる苦痛の二つをはかりにかけた天秤が後者に傾いているだけ。
自覚はあるが間違いなく空虚な人間である。何か詰めようと思ったこともあったかもしれないが、現状達成できているとは考えずらい。というかそんなこと思った記憶がない。まあどうでもよかったのだろう。それこそ明日の夕飯のメニューの方が優先されたのかもしれない。
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