スタンダードカード考察 イゼット(青赤)を支える異界の魔導士
おはこんばんちわー。MTGAに導入された版権処理版スパイダーマンの画像があまりに蜘蛛恐怖症の方々に配慮できてなくて、さすがにちょっと検索しないでと声を大にしたい華や式人です。
まぁしょうがないとはいえ、もう少し丸いイラストを増やしてもよかったんでは?紙版だともちろんそんな蜘蛛的に怖い絵ないですからね……。
さてさて久々の更新。今回は11月10日に迫るスタンダードの緊急禁止改定でまず禁止されるだろう「狂える魔導士、ビビ」のお話。
MTGをやっていてこいつを見ない日はございません、というほどの人気キャラ。というか名実ともにほんとに人気キャラ。なにせFFからの出張キャラですから。
ざぱっとこのカードの効果を説明。なお今回からテキストをまんまじゃなく意訳します。いろいろとうるさいご時世に勝手に配慮してますが、効果の中身が変わらないよう善処します!
狂える魔導士、ビビ (1)青赤
伝説のクリーチャー ウィザード
(0)パワー分の青or赤マナを好きな分配で引き出せる。起動は自ターンのみで、ターン1制限あり
クリーチャーでない呪文を一つ唱えるたび、このカードに+1カウンターを乗せて相手に一点ダメージ(この効果は制限なし)
パワー0/タフネス3
さてさて、読んだだけでわかるこのカードの強さ。今の青赤(イゼットとも呼ばれる色構成ですね)の屋台骨であり、運営がおそらく作りたかったコラボパック中でも最強のカードです。
このカードの強さは大きく分けて4つですね。
①マナの軽さ
ずっと前のスタンダードの禁止改定の際に「低マナ域に強いカードを作り過ぎた」という運営の教訓があったことはこの作品内でも言及しました。ですがこのカードはその禁止が起こる前に作成された可能性が極めて高いため、「意図して赤や青を強めようとした」意図で作られたカードの一枚です。
んで、(1)青赤という色混ざりのマナを引き出すのは大変なはず、しかもスタンダードならばマナを引き出す土地が弱いはず……と思ったら正味、今のスタンダードは5カラー混ぜても運用可能なほど土地基盤が強い。
さらに、マナ加速手段も多いため先行3ターン目にビビおいて、宝物で次の呪文をキャスト、相手に1点ダメージとビビを強化!なんてことも結構簡単。このカードも強いですが、環境がさらにこのカードを強くしてますね。
②スタッツ
パワーが0とはいえタフネスが3。これはいただけない。
理由を説明しますと、例えば白の除去で有名なテキストが「パワーorタフネスが4以上のクリーチャーを破壊する」です。ええ、素の状態ではこれに引っかからない。
ですが3というのはかなり絶妙なラインで、これが3ターン目で出てくることを鑑みると、今の緑のパワーだけで圧倒するのは難しいですね。4ターン目まで稼げばそりゃ緑は圧倒できますが……青には打消しやバウンス(クリーチャーを手札やデッキに戻す呪文)が存在するため、緑はこのデッキを圧倒できるパワーは現状あんまないです。まぁ最近、ようやく強くなってきましたが……昔の比ではないですね。
閑話休題、除去呪文強めの黒を除いてミラーの青や赤はどうか!といわれると……。この理由は③でまとめて説明します。
③マスト除去しないと負け筋
ええ、この説明をしたかった。
効果は④で説明しますが(しなくても強さは分かると思うけどね!)、こいつをのさばらしておけばスペルがなくともビビにクロックを刻まれてまけることすらあり得ます。つまり、「絶対に盤面に残してはいけないカード」なんですよね。
つまり、相手がビビを出したときに、こちらがどんな色を握っていようと、次に回ってくるターンで絶対に除去しないと、負けが見えます。
カードゲームはリソース管理のゲームなんて言われますが、つまり除去しようものならばこちらは2手損です。相手が出したカードにリソースを使って除去してるんですから。……え?1手損どころか痛み分けじゃ?
いいえ、違います。損しているのは手札リソースだけじゃないです。「除去呪文に使用したマナ」と、「除去に使用したターン」も含まれます。
こんな状況をイメージしましょう。相手は土地を全部使ってビビを出しました!相手はもう何もできない、ターンエンド!で、己のターンが回ってきました。
みなさんのどんなイメージでも、どんな盤面でも、今の手札や盤面なら確実にビビを処理できる!じゃ、処理しまーす。……こんな簡単な話じゃないんですよね。
わかりやすく言うと、狂える魔導士、ビビを倒すのに「ビビを倒すカード」と「ビビを倒すために必要なコスト」と「そのために使った己のターン」、すべてを消費して「1枚のカード(ビビ)」を倒すんです。つまり、3手損して相手に1手損を強いるんです。つまり実質、こちらの2手損。
しかもMTGの土地システムは「1ターンに基本は1枚しか置けない」ルール。もちろん2枚置けるようにするカードやコストを使って土地をデッキから持ってくる呪文もあるにはあります。……が、そういったカードはたいてい3コストを利用します。つまり~相手は3ターン目に3コスト使ってビビを置いているのに~こっちは悠長に3コスト使って土地1枚をデッキから持ってくる~……なんてやってたら、負けますよね。
④カード効果の凶悪さ
さてさて、なぜビビをマストで除去しないといけないか。それがこのカードの効果です。
まず、マナ(コスト)をパワー分だけ生成できる。自分の1ターンに1度だけ?これはもはやデメリットでもないです。だって使用機会が分かり切っているからこそ、戦術が練りやすいんですから(使用談)。
さらにクリーチャー以外の呪文を唱えた際に、+1カウンターを乗せつつ相手に1点ダメージ。何を言ってる……?
おさらいですが、+1カウンターはパワー/タフネスをこのカウンター数だけプラスできるカウンターです。イメージしやすい例でいうと、+1カウンターが3個乗ってる際に、紙で処理する場合は6面ダイスの「3」の面を見せます。つまり「+3だけ修正が永続で入ったよ~」てこと。
おまけで相手に1点ダメージ与えてますが、MTGは20点しか初期ライフがないです。20回クリーチャー以外の呪文唱えられたらこっちの負けです。何ならこの効果が一番弱い。
真に恐ろしいのは+1カウンターが乗るにつれてパワーも上がるため、放っておけばどんどん相手にコストを与える結果をもたらします。
え?土地増やす呪文は3コスト払って1枚しかもってこれないのに!?相手は打消しとかダメージ除去とかでこっちを妨害してきて!?唱えるたびに土地1枚換算のコスト量が増えていってる!??しかもビビ自体も強くなってる!!??
刷ることを許されるべきでなかったカードです、ええ。
んじゃあ、なんでこんなつよくなったの?
……これなんですが、正確なことは分かりません。ですが少なくとも少し前のスタンダードで赤があまりに弱すぎたことはいえるかもしれませんね。
例を挙げると、カルドハイム期で盛り上がったイゼット天啓。これを最後に青赤(イゼット)がスタンダード大会の名前からあんまみなくなります。代わりに出たのが青黒赤(グリクシス)や白黒青(エスパー)でした。このころは環境をこの辺の色が定義していたため、息苦しかったのを今でも覚えてます。
赤はあくまで差し色。黒や白がいなければ話にならない……そんな状況を運営が知らないわけありません。本格的なてこ入れが入った時期を一ユーザーが知るわけありませんが、明確に強くなったのは新しいローテーションの目玉「ブルームバロウ」期からでした。
禁止になった「巨怪の怒り」もこの弾だということを鑑みるに、本気度がうかがえますね。その後も赤のカードはかなり優遇されている中で、FFのコラボパックで出たビビは……勝手な妄想ながら「運営が強くしたかった赤いカードの極致」に思えてなりません。
とはいえ、今は青赤一強の状況。まず間違いなく「狂える魔導士、ビビ」は次予告されている禁止改定で、残念ながら禁止されてしまうでしょう。明言できるのはプロデューサー統括のマローさんがそうSNSで発信してるから(いいのかマロー?)
総括ですが、カードゲームには明確に強い弱いがあり、必ず禁止も出てくる遊びです。だからこそ、こういったジレンマが起きてしまうのは致し方ないですね。
ただ今回はFFのコラボで出た強いカード。紙で持っている方は売却に回さず、禁止されない下環境での活用も今後考えてみては?
ではでは。
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