第13話 健康診断【後編】

 身長体重を測ったら、次は視力測定をする為に指定教室へ行く。視力測定はABCDで評価をするらしい。


 視力測定の教室に着き、列に並んだ。そういえばどっかで調べた情報だけど、あの視力を測る表の名前は字ひとつ視力表というらしい。


「次の方どうぞ」

「はい」


 担当の先生から視力を測る時に片目を隠す器具を渡された。これの名前は遮眼子しゃがんしだ。


 「では右目にあててください」

 「これはなにに見える?」

 「右」

 「これは?」

 「上」

 「これはどうかな?」

 「右」

 「じゃあこれは?」

 「右」

 あれ? なんかやたら右が多いな……。

 「これはわかるかなー?」

 「右……」

 「はい、じゃあ今度は左目にあててね」

 上以外全部右とか、絶対間違えてるなこれ。

 「これはなにに見える?」

 あ! 左だなこれ。

 「左」

 「じゃあこれは?」

 「下」

 「これはどうかな?」

 「右」

 「これは?」

 「右」

 「これはわかるかな?」

 「左」

 「はい測定終わりです、ちょっと書くから待ってね」


 視力測定の結果は、C判定だった……そりゃあんなに右が続くわけないからな。

 次は内科検診だ、気を取り直して行こう。 


 「次の方どうぞ」

 呼ばれたので先生がいるカーテンで一時的に部屋っぽくしたところに行き、椅子に座る。


 「最近変なとこないかな?」

 「特にないですね」

 「ちゃんと睡眠、食事、散歩とかしてる?」

 「散歩はあまりしてないです」

 「散歩はちょっとでいいからしてほしいな、ね?」

 おじさん先生は顔をすごい寄せて言った。


 「はい……」

 「じゃあ音聴くから服上げて」


 僕は服を両手で上げた。すると先生は聴診器を僕の体に当てる。結構強く押され、声がでそう……。

 「うっ」


 僕が声を出すと、先生は苦笑した、最悪だ……。

 「あぁごめん、もうちょっと弱めに当てるね」

 「うん、次は背中当てるから後ろ向いて、背中は先生が服上げるからね」


 椅子を回転させ、後ろを向く。

 先生は服を上げ、聴診器を背中に当てた。

 「うん、異常なしっと」


 終わったっぽいので向きを戻す。

 「じゃあもう行っていいよ」

 「ありがとうございました」


 次は耳鼻科検診、これは初めてやるからちょっと楽しみにしてる。


 「次の人どうぞ」

 「はい」

 「耳聞こえにくいとか、鼻づまりはある?」

 「ないです」

 「うん、よし」

 「では右に置いてあるヘッドホンを着けて、これから音を出すから、聴こえたら左にある緑色のボタンを聴こえなくなるまで押してね」

 「はい、スタート、音出るからよく聴いてね」


 少し経つとぴーという音が聴こえてきたので左のボタンを聴こえなくなるまで押す。


 「よし終了、お疲れ様」

 「ありがとうございました」


 とりあえず健康診断は終わった、絵美大丈夫だったかな。

 階段を上がっていると、後ろから音が聴こえてきたので振り返ると、絵美が一人で歩いていた。


 「あ、勉! 視力下がってなかったよ!」

 「お、良かった、おめでとう!」

 「ありがとう!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る