幕間16
次の音声が再生されようとしていたので、私は再生停止ボタンを押す。
収録されていた怪談、——名付けるなら会議室だろうか。黒い液体が垂れていた原因というか、元凶は、まず間違いなく社内の愉快犯だろう。少なくとも、話者はそう考えているに違いない。粘度が高いというのに少々引っかかるが。
しかし、pH試験紙の名前を聞くのは久々だ。学生時代から聞いていないから、かれこれ10年以上あの紙とは無縁だったということになる。時の流れは恐ろしい。黄色が酸性だっけ?
残念なことに私は、化学に詳しいわけでも、家電に詳しいわけでもないため、十分な考察ができない。文系コースだったから仕方ない。
怖い話としてのすごみというか、怖さはあまりない。しかし、実際に触れると害のあるものであるだけ、ぞっとする。しかも犯人がわからないというのも嫌な気分を増長させる。創作でこれを出されたら「キレがない」と思うが、まあ実際の人づてに聞いた話ならこんなものだろう。
化学要素が入っているのは珍しくて良いが。
こればかりは続報を待とうとしか言えない。願わくば、愉快犯がつかまれば良い。と考え、これがいつ録音されたものかわからないことを思い出す。
もしかしたら、その続報はもうあったかもしれない。そう思ったが、インターネットで探しても、見当違いのサイトばかりが羅列されているだけで、めぼしいものはなかった。
ある程度予想していた結果だが、面白味がない。私は溜息を吐き、次の音声を再生させた。
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遅くなった上に短くてすみません!!!!
でも次話のストックはあります!!!! 明日更新します。
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