第5話 積読本

あ、先に言っておきますよ。幽霊話じゃないです。


ただまあ、怖い話ですね。私にとっては。



私、本が好きなんですよ。ほら、ここにも3冊持ち歩いてるんですけど。ジャンルがバラバラってよく言われますよ。自分なりに基準はあるんですけどね。


で、よく本を買うんですけど、タイトル買いに作者買い、ジャケ買いを繰り返すんで、どうしても積読が増えるんですよ。


積読、つまり、読まずに積んで放置することです。読む時間が取れないときもあるんで、仕方ないとは思うんですけどね。良くないですよね、はは。


それでこの前、さすがに増えすぎてヤバいと思って、蔵書整理をしたんです。足の踏み場もなかったんでね。


それでですね、怖いことがわかりまして。



2冊ダブったのが、4セットあったんですよ。


いや、私の記憶力は悪くないですよ。むしろ良い方です。一週間の晩ご飯を言うのもできます。



そうじゃなくて。



私、普段はBO〇KOFFで本を買うんですよ。いっぱい買うとやっぱり高いんで。


で、その、ダブった本なんですけど、しおりみたいなのありますよね。本屋で買うとくっついてるやつ。ああ、売上スリップって言うんですね。知りませんでした。それで、その売上スリップが、ダブった本の全部に挟まってたんですよ。


いえ、違います。本屋でなんてずいぶん買ってませんよ。店頭チェックくらいはしますけど。だから、売上スリップが挟まってるはずがないんです。少なくとも自分が買った本には。


家に来た家族や友人が置いていったんじゃないかって? そうですね、私もそれを疑ったんです。それが一番自然だし、それ以外の可能性なんて思いつきませんしね。



けど、その説もどうもおかしいんです。


なぜって、その本は全部、10年以上前に出版された本だったんですよ。なのに、妙に真新しいんです。背表紙や天の焼けも全くないし、埃が溜まってる様子もない。仮に私の家に招かれた誰かが置いていったとしても。



あれ、一体全体、誰がどうやって買ったんでしょうね。

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