第21話 【ご褒美……らしい】



――依頼を完了した次の日。

 俺達は初の依頼達成のお祝いと自分達へのご褒美を兼ねて、街でショッピングをすることにした。


 ちなみに依頼の報酬は今後等分することに決まったので、今回の報酬は各金貨5枚の配分にした。

 余った分はエルフィナとリリアに半分ずつ渡してある。 

 リリアは金なんて別にいらないと言っていたが、パーティメンバーである以上そうもいかないと言って半ば無理やり受け取らせた。


 エルフィナは1人で買い物するらしい。

 リリアは――


「あたしはユーリについていくよ」


 ――まあ俺についてくるよな。


 ということでこの世界で初めての買い物である。

 今度は帰りに頭ぶつけないようにしないと……


「リリアは何か見に行きたいものとかないのか?」


「あたしは特にないかなぁ」


「じゃあ先に俺が見に行きたいところに行くけど、途中で気になる場所とかあったら好きに行動して良いからな」


「はいよ〜」


「まずは食べ物関連だな―――」


 それから3時間ほど買い物をしたのだが、その間リリアは何にも興味を示していない。

 俺にとっては全てが新鮮だが、リリアにとっては見慣れたものしかないのだろうか。


「うーん。リリアは何か欲しいものとかないのか?」


「……強いて言うならユーリとの模擬戦とかかねぇ」


「あー、別にやっても良いんだけど、それ俺普通に死にそうじゃない?」


「さすがに加減はするよ」


「じゃあ街から出てやってみるか」


 ショッピングを楽しんでいたはずなのに、なぜか俺とリリアで模擬戦をすることになった。


「えーっと、リリアは木剣で、俺はこのナイフで良いのか?」


「うん、それで問題ないよ」


 さすがに銃を使うのはずるいということで控えることにした。

 ルールは簡単。スキルはなんでもあり、相手が戦闘不能になるか武器を落とすまで。

 いつものコンバットナイフを逆手に持ち構える。


「じゃあ―――始め!」


(っ――速い!)


 初っ端から依頼の時に使ったのと同じスキルを使ってきた。

 速すぎて目で追えない。

 これでは攻めるどころか守りに徹することだけで精一杯。


(ん?なんだこれ)


 突然メニュー画面が出てきた。何か書いてある。


《スキル【魔力眼マジックアイ】を習得。使用しますか?》


(今までこんな表示なかったのに。模擬戦をしているからか?だが今は使えそうだしyesだな)


《【魔力眼】を使用します。》


――使い始めた途端、リリアの斬撃が目で追えるようになった!


(これならいける!反撃できる!)


「おっ?」


 リリアの斬撃を弾き、一瞬生まれた隙にこちらの攻撃を合わせる。


「動きが変わったねぇ。今までは本気じゃなかったのかい?」


「でも甘いねぇ。ほらっ」


 リリアの斬撃が更に速くなり、隙も全くなくなった。そのままナイフを弾き飛ばされ、俺は負けた―――

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