師弟ブロマンスまたはBLを読ませてください全感想(2025/4/18)
自主企画「師弟ブロマンスまたはBLを読ませてください(https://kakuyomu.jp/user_events/16818622171253429266)」にご参加いただいた作品の感想です。
自作を除くとなんと全部で十四作、十四人の作者様がご参加くださいまして、感動に咽び泣いております。企画のために書き下ろしてくださったという作品も多く、読みたいものをねだったらこんなにたくさん読ませていただけるなんて、こんなに優しい世界、こんなに幸せな人間でいいのか…⁉︎とひたすら拝んでおります。多種多様な師弟のお話を読めて本当に嬉しかったです。ご参加ありがとうございました!
以下敬称略・読んだ順の感想です。
1.氷が溶けるまで / ウニぼうず
https://kakuyomu.jp/works/16818622171305919659
バーテンダーの師弟ブロマンス。
バーテンダーという職人たちの世界で、誰かの心を救うための一杯を求める弟子と、かつてコンペで勝つことを諦めた師匠の、言葉少なながらあたたかみのある師弟関係をたっぷりと味わわせていただきました。夜のバーのような静謐な雰囲気と、お互いに持っていないものを持っている師弟間のリスペクトが素敵でした。
2.春の彼岸と此岸 / 藤泉都理
https://kakuyomu.jp/works/16818622171474495938
春のお彼岸にぴったりの、ぼたもち作りの師弟のBL。卯の花から星影への思いと、星影が住職へ向ける思い、ひとつのお話の中に含まれた二つの関係性がおいしかったです。前半の和風でシリアスな雰囲気から、後半卯の花が開き直ってからのラブコメ風な雰囲気への転換と、卯の花の押せ押せな勢いに微笑ましい気持ちになりました。成長する弟子とたじたじになる師匠というのはいいものですね!
3.かんざし / 甘夏みゆき
https://kakuyomu.jp/works/16818622171646635126
かんざしを作る錺師の師弟BL。ひとり残った弟子と気難しい師匠、長い時をともにしたふたりが、簪職人の師弟らしい心のこもった簪の贈り物を交わす一幕にじんときました。明確な言葉には出さずに簪にすべての思いを込めるところが素敵です。作業中に倒れてしまうくらい年を重ねた喜助と、幼いころから一途にそばに居続けたのだろう政次郎の関係、師弟愛と純愛に溢れていて胸を貫かれます。
4.先生の声とクレーン音 / 草森ゆき
https://kakuyomu.jp/works/16818622171388806822
押し入れの中の虐待児と、姿の見えない「先生」のブロマンス。救いのような絆を尊く感じました。苦しい生活の中で唯一主人公が縋れる大人だった先生は、違う視点から見れば決して善人ではなかったのでしょうが、それでも構わないと悼み続ける思いが素敵です。聴覚がひときわ鋭い主人公の世界に満ちる日常の音、とりわけ蝉時雨やクレーンの音が残してくれるもの寂しい読後感がクセになります。
5.カフェナンバーにて / ハナビシトモエ
https://kakuyomu.jp/works/16818622172030591958
振る舞い&着こなしの学生師弟BL。受験勉強を頑張る高校生のサトシくんと、カフェナンバーで働く大学生のオサムさんの、日常の中のほのかな好意のやりとりが微笑ましかったです。初々しく好意をぶつけていくサトシくんと、そんなサトシくんのアピールを大人らしくかわしつつも、どろりとした執着を匂わせるオサムさんの、今後が楽しみになるような関係性が素敵でした。
6.もっと素直に愛せたなら / 永川さき
https://kakuyomu.jp/works/16818622172127690587
陶芸家の師弟BL。才能溢れる押しかけ弟子・真斗と、複雑な心境を抱える師匠・康正の、甘いのにほろ苦さもある関係がとてもよかったです。弟子の才能を妬ましく思いながらも、ともに過ごすうちに気持ちを向けてしまった康正先生の、愛憎入り混じる気持ちに心揺さぶられました。賞レースで師匠を上回る結果を出してなお師匠の凄さを信じ続ける真斗くんの一途さに胸を打たれます。
7.先生と呼ばれて / 百月三矢
https://kakuyomu.jp/works/16818622172174154399
市議会議員と漫画家のブロマンス。普通に生活をしていたら縁のないふたりが偶然出会い、先生という共通の呼び名を通じて打ち解けていく過程が朗らかで好きです。首を掴んだ手の熱を感じる場面、ふたりの距離感が崩れかける危うさが印象的でした。連絡先を交換した後の縁任せな交流、冗談めかしていても情を感じる「師弟」関係、疎遠になってからの初めて連絡先を使う瞬間、どこをとってもエモさに溢れていて、読後感が最高でした。
8.俺の柔肌にアンタの噛み跡をつけてくれ / 大福
https://kakuyomu.jp/works/16818622172820886141
彫り師の師弟叔父甥ブロマンス。実の父から痛ましい虐待を受けた結果、痛覚が鈍くなってしまった隼人が、叔父の跡を継いで彫り師となることを決める過程で痛覚を取り戻していくという成長がとてもよかったです。真摯で優しい大人であり続けた瞬さんが、隼人の人生の支えになるだろう鳳凰の刺青を彫って隼人の傷痕を上書きするという点も印象的でした。あと個人的に長髪男性の断髪が好きなので、瞬さんの外見の変化も刺さりました…!
9.ねえ、ワルツをかけて / 及川奈津生
https://kakuyomu.jp/works/16818622172972124069
社交ダンスの師弟ブロマンス。妻の不倫でヤケになっていた立花さんが、バーで出会った先生とスイートルームで社交ダンスを踊る、次に何が来るか分からないどきどき感や非日常感を味わえる素敵なお話でした。出会い方から鮮烈ならダンスと先生に興味を持つ流れも素敵で、この先のふたりの関係性がどう変わるのか想像したくなります。ストーリーはもちろん、お酒の味やダンスの描写にしっとりとした色気があっておいしかったです。
10.此岸の大火と激流の船頭 / ミド
https://kakuyomu.jp/works/16818622173033095301
お坊さんの師弟ブロマンス。師に愛欲を抱いてしまった弟子ソナム・パサンの、罪悪感や執着、葛藤や恐怖がひしひしと伝わってきます。過去生でも幾度となく邂逅してきた縁深い間柄であり、重苦しい想いを抱える弟子に対して、師はあくまで穏やかな態度を崩さぬまま菩薩のような赦しを与えるという、ふたりの気持ちの大きさのギャップのようなものにほんのりと寂しさを感じた後、そこからの最後の言葉で胸を撃ち抜かれます。
11.雪解けを待つ吸血鬼 / 黒本聖南
https://kakuyomu.jp/works/16818622173177226423
吸血鬼とその天敵の人狼の師弟BL。雪山で生きる吸血鬼であり、皆の師匠でもあるお人好しなカシオペヤと、吸血鬼の天敵の人狼でありながらも師匠を慕う弟子・ジュリアスの、お互いに救い救われる固い絆が素敵でした。弟子が成長して苦境にある師匠を救う展開や、一線を越えようとしてくる展開、大好きです!白熊サンが頑張って調理をしているところもまたかわいくて、未来のカシオペヤ師弟ファミリーの幸せを祈りたくなります。
12.作品 / 数田朗
https://kakuyomu.jp/works/16818622173238760297
堅実なベテランと才能溢れる新人漫画家の師弟ブロマンス。秀才と天才でもあり、去り行く人と台頭してくる人でもある絶妙な距離感の師弟関係が沁みました。作品作りを続けることを重視しすぎてある種理性的になりすぎてしまった中村さんが、迷走してしまうほどに情熱あふれる風樹さんと関わる傍らで、悲しいくらい淡々と自分のスタンスを見つめ直すところが切なく、創作というものについて考えさせられるところのある話でした。
13.翼をあげる / 折り鶴
https://kakuyomu.jp/works/16818622172999088105
半分人外の空中ブランコ乗りの男と、煙突掃除人だった少年の師弟ブロマンス。夜にサーカスで邂逅したふたりが空中を舞い、互いに魅入られる瞬間が本当に綺麗です。自分の先が長くはないと知りつつも、ケネスに抱えられて飛んだ夜を目指して技術を磨くアレンの姿勢が悲しくもきれいです。ケネスもまっすぐに自分を慕うアレンを特別に思っており、互いに互いをうつくしいと思う尊い関係性に心が洗われます。お話の透明感が大好きです。
14.甘くて酸っぱいチョコレートの味 / 湊 俊介
https://kakuyomu.jp/works/16818622171785895319
弓道部に所属する高校生の先輩後輩BL。自分の性的指向に悩む楓くんの苦悩を思うと、苦しい気持ちになりました。掲示板に写真を投稿するという大胆なことをした後で、いざ反応があると怖くなって消すというのも、悩みを抱える子どもらしくて胸が痛いです。ですがそのおかげで晴人くんとの縁が繋がったと思うと、よかったなあと思うばかりです。この先のふたりが幸せな青春を過ごせますように!
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