記憶
ええ、それはもう昔のことです。
どれくらい昔かって?
さあ、どれくらいでしょう。
鉄筋コンクリートはありませんでした。
電気もなかったと思います。
強烈に記憶に残っているのは人です。
何人かの人です。
顔は良く見えませんでした。
薄暗かったですし。
覚えているのは私たちは何か共通の目的をもって集められたということです。
でも、その目的は今の価値観でいえば、きっとたぶんあまりよろしくないことだった気がします。
仕方のないことだったんです。
そういう時代でしたし。
もう、終わったことですし。
振り返ったってそこには何もないですし。
組織はもうこりごりです。
もううんざりだと思っていたんです。
組織に属した時点で私の命はもう私のものではなかったですから。
でも、それでも、人が集まれば、一個人ではできない奇跡のような現実を動かすことができることを私はこの世界で知りました。
もう戦わなくていい。力もいらない。
私はこの体でありのままの姿で世界を愛そうと思います。
スズメの涙 凪 志織 @nagishiori
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