第2話カードで

その出来事は、瞬く間に世界中へ広がった。


「レアなトレーディングカードが、1枚100億円で取引!」

レアなカードでなくても、10年前に発売されたものが、当時の販売価格の30倍に跳ね上がっていた。


10年前、画期的かつスリリングなそのカードゲームは瞬く間に人気となり、10年経った今でも勢いは衰えるどころか、ますます熱狂的なファンを増やしていた。


ファンたちはレアカードを手に入れるため必死になり、取引価格は年々上昇。

それに目をつけた投資家や転売ヤーたちもこぞって参入し、この2〜3年の価格高騰は凄まじいものとなっていた。


そして、ついにこのニュースである。


それまで興味のなかった人々も、価値が上がることなど知らなかった人々も、一斉にカードを買い始めた。


皆が一斉に買い出したものだから、店頭からカードは姿を消し、

「今売るよりも来年、来年売るよりも10年後に売った方が高くなる」

と気付いた人々は、ますます手放そうとしなくなった。


当然、取引価格はさらに上がっていった。


それを見た人たちも、またカードを買い、家の倉庫に大切に保管するのだった。


制作会社の方も、作れば作るだけ売れる状況に乗じて、次から次へとカードを製造。

どれだけ作っても、どんどん売れていく。

さらに、どんどん、どんどん、作った。


今まで品薄で買えなかった人たちも、ようやく手に入れることができ、

「10年後を夢見て」

可能な限りカードを買い溜め込んだ。


そんな循環が続き、気がつけば、家の倉庫では保管しきれなくなった人々が、家の外にまでカードを置くようになった。


農家たちは、「米や野菜を作っている場合ではない」と、畑をカード保管スペースに。

酪農家たちも同じだった。


やがて街はカードで溢れかえり、生活スペースは消え、食べるものもなくなった。


こうして人類は滅びたのであった。

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人類滅亡 なぁりー @nary3954

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