第10話 PCX一人旅 ブルーインパルスへの道 修正版

※第1話から第10話までは修正版です。以前に発表した分でしたが、PCの操作ミスで編集作業ができなくなり、パート2に合体させる形で掲載することにしました。前に読まれた方ももう一度読んでいただければと思います。


 ブルーインパルスへの道はなかなか開かない。条件がそろわないといけないからだ。週の初めにネットで松島基地のスケジュールを確認し、ブルーインパルスの練習日をピックアップする。毎日飛ぶわけではないし、だいたいが1時間程度で終わる。次の条件が天候である。カメラにおさめるためには、青空が必要である。晴れであっても雲があれば、画にはなりにくい。3つ目が風である。風が強いとブルーインパルスが放ったスモークがながれてしまう。それとPCX160は排気量の割にボディが大きい(150kg)ので、風の影響を受けやすい。できれば風速5m以下がのぞましい。山ぞいの自宅で風が吹いていなくても、海ぞいに行くと10m以上の風があり、断念したことがある。そして、最後の条件、私の仕事のスケジュールである。非常勤なので毎日仕事があるわけではないのだが、週に何回かは仕事をしている。これらの条件がクリアできるのは、なかなかない。昨年は1回しかとれなかった。

 自宅からは、走り慣れた道で仙台空港ICまで走る。途中の岩沼・姥ケ懐線は適度なカーブがあって走りやすい。昔はうっそうとした林道だったが、トンネルが開通して走りやすくなった。途中の村田町姥ケ懐には鬼伝説がある。京から逃げてきた鬼がここに棲みついたということで、鬼の手形がついた岩がある。土地の人は節分で

「福はうちー、鬼もうちー」

 と言うそうである。興味のある人は伝承館に行くのも一興だと思う。

 仙台空港ICから仙台東道路にのる。PCXにはETCをつけているので、スムーズに入れる。ただ、ここは片側2車線で制限速度が100km。PCXで100km巡航は結構厳しい。出せなくはないが無理強いをしている感じがする。(ちなみのPCXでだした最高速はSUGOでの110km)そこで80~90kmで走る。当然走行車線を走る。多くのクルマが追い越し車線で抜いていく。

 1時間半ほどで三陸自動車道矢本ICに着く。仙台東部道路は有料だが、三陸自動車道は復興道路になっているので無料である。ICから浜に向かって走るとすぐに管制塔が見えてくる。基地の左手にある駐車場に停めるのもいいが、今回は右手の滑走路脇にバイクを停める。ちょうど練習が始まったところで、遠くから5機編隊がやってきたと思ったら扇形に広がっていく。サンライズという演目だ。バックの青空に映える。すると1機が私の頭上で右旋回をしていった。低空飛行でシャッターチャンスだったが遅れた。最後はハートマークに矢が刺さるキューピッドで終了。およそ1時間。今回は風向きが仙台方面からだったので、逆方向で着陸シーンの撮影はできなかったが、石巻方面からの風の場合は滑走路右にある脇道に入ると、タイヤをだした着陸寸前のブルーインパルスが間近に見える。すごい迫力である。川を隔てた野蒜築港跡から見るのも画になる。

 松島以外では年に1回の航空祭でしか楽しめないが、ここでは何十回とみられるのである。私は20年ほど前に松島が勤務地だったことがあり、毎日のようにブルーインパルスを見ていた。地元民はそれが当然なのだが、離れてみると宝物のように見える。今は宮城が誇る最高の観光資源だと思うのだが、県のアピールは少ない。もっとも多くの観光客が来すぎても困るのだが・・。

 お昼は矢本の料理屋さんで海鮮丼を食す。さすが浜の町なのでおいしく、コスパもよかった。バイク好きな親方で私が店を出る時に、PCXを見にきてくれた。白いボディに青いラインをいれているので、

「まるでブルーインパルスJr.だね」

 と言ってくれた。松島基地のイベントで楽しい動きをする三輪バイクのチームがあるが、それに似ているということだ。私も見たことがあるが、3台以上のバイクで同じ動きをする曲技のバイクチームである。イベントといえば、1年に一度松島基地の滑走路を自転車で走ることができる。主滑走路は走れないが副滑走路をおもいっきり走れる。私も電動アシスト自転車で走ってみた。スピードはそこそこだが、それなりの雰囲気を感じることができるので、興味のある方はどうぞ走ってみていただきたい。

 帰り道は走り慣れた一般道を走る。松島町に入り、堤防を走り品井沼方面をめざす。駅近くから大郷に向かう県道に入り、道の駅おおさとで休憩。そこを出て新幹線の高架を抜けたら左折。泉方面をめざす。成田の団地に入り、国道4号線を横断し、泉パークタウンに入る。このあたりは交通量が多い。パークタウンから南進し、宮城学院の脇を通り、トンネルを抜け大学病院で右折。八幡町から折立までの道は適度なカーブが続く。折立からは錦が丘に向かい、そこから秋保温泉に向かう道をとる。途中、グルーピングがきってあるので要注意だ。秋保温泉からは釜房をめざす。ここが最後のハイライト。いいカーブが続く。アップダウンもあっておもしろい。釜房湖畔から見る蔵王も秀逸だ。釜房からは青根温泉をめざす。ここの登りも楽しい。そしてここの日帰り温泉が今日のゴール。天気がいいので最高の1日だった。

 今回のツーリングデータ

  出発時間   7時

  到着時間  16時

  走行距離 181km

  消費燃料   3.6km(推定)

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