第110話 断片


一人夜中のリビングで外の物音に耳を傾け

ひっそり過ごしたような時間に

何を考え何を哀しみ何を願っていたのか

今となっては何も思い出せやしないけれど

そのときに聞こえていた音の雰囲気

なんとなく青みがかって見えた部屋の灯り

そんな時間があったということ

それだけは記憶に刻まれている

これから先同じような青い夜に出会ったら

きっと思い出すのだろう

このなんとも心許ない夜の断片を



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