第26話 月夜


月のにじむ静かな夜

どこからともなく立ち上る

海のにおいが夏を思わせる


追い越していく車の音

遠くの街灯が揺れる


ひたりひたりと歩きながら

ふーっと息を吸い込んだ

髪を撫でるぬるい風

指に絡む熱はまだ冷めず


潤む月に目をやれば

こぼれ落ちてしまいそう

そっと手を差し出して

月のしずくを受け止める


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