第14話 覚悟


知らないうちに夏になっていた


いつの間に空気はこんなにジトジトと

たまの晴れ間はジリジリと

まとわりつく暑さになっていたのだろう


急な変化に追いつけなくて

ぼんやり道端に立ち尽くせば

照り返すアスファルトに焼かれ

チリチリ焦げてしまいそう


たまに覗く青空はまぶしくて

むくむくした雲を味方につける

ほらもうこれはただの夏だ

穏やかだった春を薙ぎ倒す夏だ


すっとぬるい空気を吸い込んで

光に細めていた目を開く

これはもう覚悟をしなければならない


夏を迎え討つ、覚悟を。

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