第12話 喪失
解体されたビル
積み重なる瓦礫が
遺された骨みたいで
なんとなく目を閉じた
埋葬を待つだけの
どうにも空虚な時間
確かにそこに在ったのに
もう輪郭さえ思い出せない
これを哀しみと言うなら
きっと誰もが哀しい
曖昧な記憶は
ふわふわ両手をすり抜け
存在を悼むことすら
もうできなくなるよ
あんなにもこの場所に
佇んでいたというのに
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