サイコパスについて、残滓
欲に意味は無い
何の話だと、思う・・・そんなの分かっている、人の欲測りしれない
「しかし、無意味こそ至高だ・・・」
一体、何を言っている、そう悩んで俺は目の前の人物を見る
「例を示そう・・・」
乙さんは手を動かす
「俺はこの手に取った唐揚げ、それに意味はあるか」
「意味と言う言葉が分からなくなってきました」
「まぁ、そうだろう、では、口に運ぶ」
唐揚げを口に放り込み、モグモグ食している。そしての飲み込むと箸で刺してきた
「それで、君はこの手の箸、この唐揚げを掴んだこの手の動きを無意味だと言えるか」
「・・・意味と言うか、食べたいから唐揚げを食べたんでしょう」
「そうだ、食べたいから口に運んだ」
「・・・それで、この箸に意味はあるのか」
乙さんは箸をカチカチ鳴らす・・・開いた先に何も獲物はない・・
「意味はあるでしょう、そもそも動かしているのは貴方ですよ・・・」
「あぁ、そうだ、でも俺は食べたいと思ったから箸を動かしただけ」
「しかし、俺の中には意味は無い・・・」
口に運んだのに意味はない、何を言っているんだこの人は・・・
満足そうな彼に侮蔑交じりの視線でみるが、その人物は美味しく唐揚げを飲み込んでしまっていた。そしてその一部始終を見た俺は言葉を投げかける
「無意識ですか?」
「あぁ、無意識だ、食べたいそう思ったから腕を動かしたに過ぎない」
「そうですね、何を言っているんですか?」
「それを殺人と仮定すると、どうなる?」
俺の方に箸を差して真剣に見て来る
「えっ?」
今しがたの乙さんの食事の光景。それを仮定して・・・その言葉を元に想定する
食べたいから食した、やりたいからやった、
そして・・・、殺したいから殺した・・・
只、食べて消化する、結果しか残らない、仮定なんて無い
今迄の食事風景が殺人すぐさま現場に変わっていた
ふとみやると、乙さんはバジルを掴み口に運んでいた
「口直しにペパーミントはいい・・・」
そして、味会うと、飲み込んだ、
喉元は蠕動し、飲み込んでいた。それが意味するのは澄み切った味わい、そして
クリーンな空気だ。
「つまり、連続殺人犯には感情がないと」
乙さんは俺の問いに苦虫を潰すような顔で答える。さっきまで恍惚の表情が嘘のように、爪楊枝で歯をほじくっていう
「違う、感情はある、今さっき、俺が感じたように・・・」
「爽快ではないが、得てしてそれを爽快と、錯覚する奴らはいるって話だ」
そして乙さんは言う
「・・・何で、殺すんだろうな」
「俺も一時、全てが邪魔だと思ったが・・・殺したい程なんて価値なかったのに・・・」
「・・・他人を殺したとして、その後、見繕うのに、どんなにめんどくさいかしらんだろうな・・・」
そして、食事を終え、乙さんは立ち去る
「サイコパスって言葉に憧れた奴が不憫でしかならない」
「模倣犯だろうが、それが真実なのだろが、しらないが・・・」
「殺人、それを犯した時点で罪人でしかない」
「結果、刑務所送りにしかないのに」
「・・・刑務所、送りが理想かよ」
「そんな、考え、全部捨てちまえ」
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