金の斧

「あなたの年齢は十八歳以上ですか? 十八歳未満ですか?」

 いかがわしいサイトを開いたと思えば、スマホの画面から突然、美しい女性が飛び出してきた。

 僕が唖然として、女性の質問に答えられないでいると、また女性が繰り返して

「あなたの年齢は十八歳以上ですか? 十八歳未満ですか?」

 などと聞いてくる。

 僕は昔話の正直者の木こりが金の斧と銀の斧をどちらも手に入れる話を思い出して、正直に答えることにした。

「…いいえ、僕は十八歳未満です」

 そう僕が正直に答えると、また女神が質問を始める。

「ではあなたは男性ですか? 女性ですか?」

「…僕は男性です」

「あなたはとても正直者ですね、しかし十八歳未満の少年にこのサイトを見せるわけにはいきません」

 女神は一糸纏わぬ姿でスマホの中に帰って行ってしまった。




 俺は友人からいかがわしいサイトの女神の話を聞いた。

 どうやらスマホから出てきて年齢が十八歳以上か十八歳未満か聞いてくるらしい。

 その女神とやらに会ってみようと思い、俺もいかがわしいサイトを開く。

「あなたの年齢は十八歳以上ですか? 十八歳未満ですか?」

 あいつの話は本当だった! 俺は喜びを隠しつつも答える。

「俺は十八歳以上だ」

 そう答えると女神の態度は豹変してスマホに引っ込む。

 俺はどんないかがわしいものが見れるのかと思うと、シャッター音が流れたと同時にスマホからいいかつい男が出てきて話しかけてくる。

「お前がどんなサイトを見てるから周りにバレたくなければ、この俺に十万円払え」

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短編・ショートショート 京葉知性 @keiyouchisei

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