君とまたあの場所で。

赤坂 葵

プロローグ

 僕は音楽が好きだ。

 特にロックがたまらなく好きだ。


 アップテンポな曲も、静かなバラードも、

 ちょっと癖のあるマイナーな曲も、全部が僕の生きがいだ。


 音楽は、世界の見え方を変えてくれる。

 日々の生活に彩りを与えてくれる。


 音楽のない世界でなんて、生きていけるはずがない。

 いや、絶対に生きられない。


 それくらい音楽を愛している。

 毎日のように曲を聴き、時間があればライブハウスに足を運ぶ。


 僕にとって音楽の醍醐味は、やはり『ライブ』にあると思う。


 汗を流しながら全力で歌う演者。

 それに応えるように、一緒に歌い、踊り、叫ぶ観客たち。


 音楽のリズムに身を委ね、会場全体がひとつになる瞬間。

 曲ごとに押し寄せる興奮と感動。


 大音量のサウンドが、身体を、耳を、そして心の奥まで揺さぶってくる。

 ときに飛び跳ね、ときに思わず涙がこぼれる。


 ライブは最高だ。

 音楽を通して、歌い手の想いがまっすぐに伝わってくる。


 そんな音楽が、僕は好きだ。

 たぶんこれからも、その気持ちは変わらないだろう。


 そう信じて、今日もまたライブハウスへ向かう。


 この先、自分の価値観も人生も大きく変わる出来事が起きるなんて……。

 このときの僕は、まだ何も知らなかった。

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