先ずは、この作品。作者の衝撃の前作
【最後の妖怪】と同じ地軸の上にあると
理解している。前作も大変衝撃的では
あったが、この作品も大陸から齎された
古文書が背景にある。
そして我々日本人ならば誰でも知って
いると言っても決して過言ではない
『桃太郎』伝説へと繋がって行く。
しかも 偽史 であるとは思えない程
見事にしっくり来るのだ。
それはさて置くとして。
今回の、この作品。一番の驚きとして
『人』の持つ悪意や弱さ。更にそれらを
細分化した虚栄心、承認欲求、自己中心
他責、妬み嫉み、自己憐憫。ありと
あらゆる負の感情を、何ら粉飾せずに
表現している事が挙げられるだろう。
それだけに、登場人物の心情が大変
丁寧に描かれており、いやに身近に
感じられる。こんな人いたら嫌だなと
思いつつ、決して目が離せなくなる。
そう。本当に目が離せなくなる。
美しいからではなく、逆のベクトルに
振り切れている登場人物の為人が、
目が離す事を許さない。
神話世界の再来なのか、それとも単に
絵空事なのか。不老不死を齎すもの、
国家転覆テロやSNSの闇…それに神話や
フォークロアとして今も伝わる桃太郎
伝説の、猿、雉、そして犬。
歴史ホラーというには微細でヒトコワと
言うには壮大で悠久。
今迄、見た事のない
万華鏡のような歴史ホラーが此処に!