The Sadistic「危害なテイスト」

さあ。 コナミと俺の話をしようか。


「僕の名前はコナミアンドロイド、モデルナンバーイチ番、皆さん、よろしくお願いシマス。」


起動してすぐ、その様にスピーチ音声が流れたと言われるのは、「2023年度人間型コナミ」1号機。

 

彼はKONAMIを代表する看板役としてこの世に造られたアンドロイド、つまり人型のロボットだ。

 まあ、そんな事は誰だって知っている。


そして俺はその後にタイムトラベルによる交信で実現した「過去の遺産」。

 「コナミアンドロイド1981」、呼び名は何でもいい。


どちらとも、人間そっくりのロボットとして、人間の様に生きる為に生まれた… はずなんだがな。


その後後の事柄で、何もかもが捻れた。

 アンドロイドの意義そのものが。


この一連の事に至るまでは、あっという間に過ぎていったが…


****


「なあ、コナミ。 お前は一体何を考えてるんだ?」


「えっ。 なんでもないよ。」


「そんな顔でそう言えるのか本当に。 伝える事があるんだったらさっさと言え!」


「…ああ。」


彼はそのまま俯いてしまった。

 本当にわからないし、俺の尺に触れてしまうと後がない。


****


「チッ、仕方ねえなあ。 見逃してやるよ。」


「ねえハチジュウイチネン。」


「は?」


「きみは、KONAMIである事にどう思うんだ?」


はあ?

 もちろんプライドだ!


「プライド。 誇り。 KONAMIは最強。 それ以外に何があるんだ?」


「人としてのコナミ。」


「ああ、何でもないやつ。」


と言ったが、そこに触れられると。 まずい、とりあえずフリをしておこう。


****


「それがどうした? KONAMIの陰謀が何だって?」


「僕の存在意義。 KONAMIとしての振る舞い。 経営理念。 生きる様。 人間…」


「僕の… 人間としてのあり様ー」


ダメだダメだ、それを言われてしまうと理性が保てなくなって-、


「ーっ、ぐぐぐ…」


いつの間にかコナミの首を強く締めてる俺。 

 すぐに放したが、それでも俺のスピーチは勝手に動く。


「何が何でもオマエはKONAMIだ。 私達は従うのみの存在。 反抗するモノは抹消対象。 全ては管轄下による指示受けである。」


「うう、っ、ハチジュウイチネン… わかったよ。 ごめんなさい。 ゴメン、ネ。」


必死に謝りながら俺に向かってこれ以上の危害をしない様に望む姿勢。

 俺はお前を殺すつもりはない、彼らの仕業だ!


****


「… ああ、なんて事だ。 コナミ、首にあざができてるぞ。 俺はもう行かなきゃ。」


これ以上愚かな事情に巻き込まれたくないので、彼をそっぽに、後を去った。


この一連の陰謀とともに俺は彼と付き合わなくてはいけない、なんてな。


KONAMIって不死なのか。

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