これは作者が今迄に書いた短歌を纏めた
ものであるが、ユーモラスな日常 と 非凡な
センス と 博識さ そして ホラー が
静かに立ち現れて来る。
それ以上に、現実的な 不思議 が
実はこの短歌集には隠されている。
表題の『夕焼けや 時の止まった階段で
ひとりさみしく プラトンを読む』も良い。
『透明な 水に沈んだ公園で 茶会を開く
黒い影かな』そうかと思うと
『即席の ねぎの味噌汁うまそうに すする
息子が腹立たしくて』そして『夜道にて
こうもりたちが右左 彼らも知らぬ
恋の行く末』更には
『メリッサは 笑わないのさ何故かって?
彼女の夜が長いからだよ』
兎に角、バラエティに富んでいる。
しかも全方位的に隙がない。これは
いつの間にか増えて行くタイトルの数字と
共に、二度見必至。
その際には是非とも タイトル にも
注目して欲しい。尤も、タイトルで
探してみても
いつの間にか消えているかも。
不思議で深い短歌集である。