誰にも届かないかもしれない。
でも、それでも書きたかった。
池波正太郎を敬愛する一匹の『筆遅犬』が、震える指先で綴る創作の記録。
理想と現実のギャップ、投稿後の焦燥、評価されない苦しさ。
それでも、キャラクターたちへの愛情と「伝えたい」という情熱だけは、消えることがなかった。
このエッセイには、壮大なファンタジーも、劇的な展開もない。
あるのは、ただひたすらに迷い、悩みながら、それでも「書く」ことを選び続けたひとりの書き手の姿。
PV数に一喜一憂し、ブクマがつかない夜に泣き、
文体に悩み、視点に悩み、自分の未熟さに打ちのめされながら、
それでも「次の一話」を積み重ねる日々。
このエッセイは、派手な物語を持たない代わりに、
書き手の素直な感情がそのまま文字になって流れてくる。
だからこそ、読む者の心に静かに届く。
──「ああ、自分もそうだった」と。
すべての『駆け出し』に贈る、小さな、けれど誠実な創作のドキュメント。
これは、名もなき作家たちの、裏側にある『本当の物語』なのかもしれない。