第29話 大体キミのせい

いつの間に帰ってきたのだろう。

風呂に入った記憶もない。

昨日はそれどころじゃなくレポート書き散らかした気がする。


何だか下が騒がしい。

もう朝か。寝ちゃってたか。


あれ、知らない天井だ。

はぁ!?

ここどこ!?


とりあえず騒がしい方へ行ってみよう。


「あ、おはよう!何だか楽しそうなことになってるよね」

「ネッター、ネッター!昨日ダンジョンとライブラリ見たらさ、ダンジョンがダンジョンできるようになったんだよ!どう?どう?結構良くない?」


「えっと、ここ、どこ?」

「塔だよ。スライムくんが、洞窟風のテクスチャ出してるみたい。物の位置は変わってないから気を付けてね」

「クモ魔法で食べ物から魔力吸うやり方教えたから、本物のスライムみたいにご飯も食べられるよ!」


「そのスライムくんはどこに?」

「その辺で幻影の練習してる」

「朝ご飯はいるの?」

「エネルギー切れたら適当に補給するから大丈夫」


「じゃ、ご飯食べたら湖に行こうか」

「え、もう少し遊んでからじゃダメ?」

「午後にしようか。ゆっくん、昨日ライブラリ徹夜したでしょ。今練習してるあの剣、確かシリーズ後半で出てくるやつだよね。」


「何で知ってるの?」

「人気だって言ったでしょ。昼まで寝た方がいいよ。眠れないなら物理的に手伝ってあげようね」

「ゴメンナサイ、オヤスミナサイ」


と言うわけで、仕切り直して湖へ。

干からびかけていたアメーバはもう完全にスライムだ。

湖にプカプカ浮いて遊んでいる。ゆきちゃんがそれに乗って遊んでいる。

おたく水棲生物ですよね?水さえあれば水陸両用だったの?


「どうしようかねぇ」

「火山近くの源泉ってのは遠いんだよね?ここから見えるあの山?」

「うん、そう。行くのにちょっとかかる。街で足を借りてこないとな…」


「オレが連れていってもいいよ!」

「いや、一応私有地なんで話だけはしておきたい。庭にダンジョンができちゃったら大騒ぎするでしょ。新聞沙汰だよ」

「ダンジョンじゃなくて温泉宿とかにしたら?」

「うーん、水質検査とかでバレそう」


『水辺なら現地が分かればここと水影を繋げられますよ。向こうの様子を水に投影できます』

あ、ツバサヘビ。おはよう。昼だけど。

「確かに、まだ合うかどうかもわからないし、とりあえず様子見したいね。一度行って軽く下見してこようか」

「えー、お留守番?」

「ちょっと考えさせて。色々自白した犯クモさん。」

「あ、オレ、見たいライブラリの続きがあったんだった。行ってらっしゃーい」

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