『ふむ、なるほど、バラバラに飛ばされるのか』

「あっプラチナオウカブトさん居たんですね」

居ないかと思ってビビりましたよ、あなたが居ないと雑魚なので死ぬんですよ……

『名前呼び辛いだろう？カブトでいい』

「じゃあカブトさん、バラバラに飛ばされるってどういう事ですか？」

『ん？どういうも何も……そのままの意味だ、それぞれこの世界の別の場所に飛ばされたのだ』

「えっ？でも普通に一緒に居ましたよね？」

滅茶苦茶近いとか？それともタイムラグ？

『いや、あれは私がこちらに飛んで来ただけだ』

「えっ……でも音とか風とか……」　

『転移だからそういうのは無いと思うぞ』

転移ァ！？嘘ぉ！？やばすぎだろ！？

「えっと、じゃあどれくらいの距離を……？」

『確か海を隔てて別の大陸に移動はしたな』

遠いな、本来なら合流ほぼ不可能じゃん

……いや転移範囲でっっっか！？！？

単身で、準備とかなくその距離を！？！？

「あ、そうだ！クリア条件は……」

『私の場合は魔王軍の壊滅、竜王の擁立、勇者の持つ聖剣を奪うだったな』

「あー、俺は魔王、竜王、勇者の殺害でしたね、とりあえず各陣営を探りつつそれぞれ悪人なら殺すって感じで良いですかね？」

『そうだな、基本的に魔王、場合によって竜王と勇者を目標としよう……まぁ勇者は最終手段だな、確実に私だけ条件を満たす』

「え？そうなんですか？」

竜王は擁立だから直接的に手を貸さないと反応しないと思うけど……聖剣もそんな感じじゃない？

『私は問答無用で相手の武器を奪ってしまうスキルを持っていてな……』

「あー、なるほど、ならとりあえず、魔王軍の所行って見ましょうか」

『そうだな、まずはそれぞれの陣営を見て回ろう』

ーーー

「死ね！王に逆らう愚かな竜よ！」

「ひっ……た、たす……」

『すまん、助けさせてもらう』

「全く問題ありませんよ」

「貴様ら、何者だ！？」

「まぁまぁそんな事より、なんでその子を殺そうとしてるんですか？」

「ふん、こいつは竜王様の慰み者になる栄光を拒否した愚か……」

パンッ！！！

カブトさんの拳により、破裂音と共に、大きな竜の体が消滅する

一切の痕跡を残さぬ死であった

『栄光を穢すのは辞めてもらおうか』

（うおお……カブトさん怖……あの人栄光を穢すのが地雷なのね、覚えとこ）

「……それで、この子も竜なんですかね？」

『ふむ、確かに愚かな竜と呼ばれていたからな』

「この子を竜王にできないかなぁ……」

『ほう……確かに、それも良いかもしれんな』

「ですよね、こんな子を１人置いていく訳にも行きませんし」

『あぁ……しかし竜王だと危険なのではないか？』

「大丈夫ですよ、勇者でも魔王でも竜王でも危険度は大して変わりませんから」

誰に攻撃されても一撃で死ぬしアンタが出たら一撃で殺せるでしょうに

「お兄さん達が助けてくれたの……？」

「ん？いや、カブトさんが助けたから俺は計上しなくて良いよ」

『そう言うな……そういえば名前を聞いていなかったな？』

「え？あぁ俺の名前は狭間（はざま）薪（たきぎ）だ」

『薪……そうか、薪か』

「えっと、あの……たきぎさんはなんで私を竜王にしたいんですか……？」

「え？いや、俺は竜王を殺してこのカブトさんは新しい竜王を擁立して帰らなきゃいけないんだよね」

「えっと、それなら私に考えがあります」

「マジで？」

「はい、たきぎさんが竜王を一対一で殺せるなら、ですが」

「……あー、なるほど、どうする？カブトさん」

『ふむ……竜王の強さによるな』

「えっと、先程死んだ竜が竜王の次に強い竜です」

『なるほど、1週間……いや、5日あればなんとか出来るかもしれん』

「えっ！？！？！？」

俺が5日で竜王を！？！？！？