第40話 サクヤと同行する資格
つうか、ここは経由地点なんだから、サクヤがそんなにエライなら話付けて次の経由地まで送迎させろよ。なんでしちめんどくさいランク縛りの冒険者と冒険しなきゃなんないんだよ。
「つうか、サクヤの政治力がモノを言う地域なら、送ってもらえるように頼めない?」
「イヤよ。あなたの旅の目的はバッグの部品かもしれないけど、私たちはあなたと旅行することが目的なんだからね!」
いや、旅行って……。つまり、ここでの現地人とのコミュニケーション手段が、ここで滞在することを希望してるということだ。絶対ここの言葉マスターしてこいつらの好きにされっぱなしにはしない!
そもそも旅の目的が違うんだ。こいつらは仲良く旅行すること、言うなれば旅そのものが目的、オレはバッグの部品を入手しに行くこと。かといって一人ではこの国を無事に抜けることすらままならない。おとなしくオレの目的に付き合う覚悟をキメるまで付き合うしかない。
そして、カスミに至ってはゴキブリンが出ない場所としてオレにぴったりくっついている。なんでモンスターを生きたまま膾にして食うヤツがゴキブリン如きザコをまるで世界の終焉かのように恐れるのかさっぱり理解できない。いや、そうはいっても苦手なものは苦手なのだろう。こればかしはそういうものとして受け入れるしかない。
ともかく、現地交渉役として窓口になってほしいので二人とここで別れるわけには行かないというのを説明する。
「じゃあ、バローとカスミがSSSランクおよびそれに相当する者であると示せばオッケーね。」
「めんどくさいから、サクヤ置いてって、ナガヒメだけ連れてくってのはダメかな?」
そう言うと、姉妹揃って泣きそうな顔をする。勘弁してくれ。
「私たちは常に一緒に居るもの。片方だけを共にすると必ず悪いことをもたらしますわよ。わたしを置いていけば早死にし、サクヤを置いていけば何をやっても成功しなくなるわ。」
ひぇ~。そして、そのサクヤを取り上げられそうなんですけど。
「あなたがここでSSSランクに相当する事を見せつけるのは逃げられない運命です。そしてその運命に対して後ろを見せない限り貴方は何時か必ずその運命を乗り越えられるのです。」
ってなんか良いこと言ったみたいにナガヒメがドヤ顔してるが、要はまた用もなく闘わされるんじゃないかい?
―――
ということで、おなじみ模擬戦。もちろん負けるつもりなんて微塵もありませんでした。攻略法を講じない限りマイバッグは無敵なのだから。唯一の攻略法は、ひたすら質量を稼いで、バッグの容量を飽和させてしまうこと。現在のあまり容量は現在40t。しかもこの数字は誰にも見せてない。だから一度の攻撃で40t以上の質量をぶち込まないかぎり勝ち目はない。そう思っていたときもありました……。
「この軍備で自衛する戦艦を沈めたら勝ちと認める」
………なんでやねん。マイバッグの容量などはるかに超えてる。
これだと穏健な試合は出来ない。本当に沈めていいのか?
「余裕の無い闘いとなるゆえ、沈めることは沈めるが、もとに戻せと言われても戻せないが良いのか?」
出来もしないことをとばかりにフフンと鼻でバカにされる。
では遠慮なく、バルバスバウを遠隔入荷、すぐに海上に捨てて、船底の外装から順繰りに入荷と破壊を経て、接近することなく文字通り(浸水により)「沈め」て、晴れてSSSランク相当と認定させた。一悶着どころじゃなかったけどな。あとはカスミが力技でお相手してなんとかした。
鼻でバカにしてきた奴らの鼻をあかしてやったぜ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます