第2話 辺境の領主
気がついたのは産まれて半年がたち生後6ヶ月になった時。2週間前の事だ。
うん、僕の前世は
あの時クラスメートたちに神様が言ってたのは、前世の記憶を持っているかどうかは運だって言ってたから僕は運が良かったんだね。
で、僕は心の中でステータスと唱えてみた。
名前∶ソラ·カンディーラ
年齢∶0歳
職業∶付与師
称号∶辺境伯三男
体力∶50
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まだ0歳だから体力も
バフもデバフも3つずつしかないしね。でもレベルがあるみたいだから少しは増えるのかな?
それにしても
これは要検証だね。そこまで僕が考えた時に部屋の扉がバーンッて開いた。
「ソラちゃん、起きてる?」
大きな音で扉を開いたら寝てる子もビックリして起きちゃうと思うんだ。
部屋に入って来たのは僕の母親でレーメ·カンディーラ27歳だ。父親はロマン·カンディーラ34歳。辺境伯として領地を治めているんだって。僕付きになってる侍女と部屋の掃除に来る侍女の会話で知ったんだ。
「ソラちゃん今日も良い子でしゅね〜」
母上は27歳だけどボンキュボンの見事なプロポーションをしている。そんな母上がおもむろに服をはだけてその豊満な胸部装甲を露わにした。
「さあ、ソラちゃん。ご飯でしゅよ〜」
母上が僕を抱き上げて口元にピンクのボッチを押し付ける。僕は本能に従ってそのボッチを口に含んで一所懸命に吸う。
ああ〜、美味しい。僕は必死で吸う。暫くして満足した僕を母上は縦抱きにして背中をポンポンと叩いてくれる。
ゲフゥ〜とちゃんとゲップが出たのを確認してから母上がベッドの上に僕を寝かせてくれた。
「ソラちゃん、おネンネしましゅか〜? 母もお隣でおネンネします〜……」
そう言うと母上は僕よりも早く寝てしまった。お疲れのようだ。
ここは辺境の地だ。人種の国であるグレンダイサーンと魔人種の国であるグレートマシンガーンの堺にある領地。
と言ってもグレートマシンガーンと戦争をしている訳じゃない。両国の関係は良好で、むしろ協力して境界線にある魔獣の森にいる魔獣を増えすぎないように管理しているそうだ。
両国が協力関係にあるから戦争なんかは起きないけど魔獣はちょこちょこやってきてるらしいんだ。
そのちょこちょこやって来る魔獣を父上と精鋭の騎士たち3名、更には客将として来ているグレートマシンガーン国の騎士3名で退治しているらしいよ。グレートマシンガーン国からは9名の騎士が来てくれてるそうだよ。
うちからもグレートマシンガーン国に9名の騎士を派遣して、お互いに交流をしているって侍女が話していた。
とそこまで思考して僕もそろそろおネムになった時だった。また扉がバーンッって開いて父上が入って来たんだ。でもタイミングが悪いよ父上。
寝ていた母上が、
「う〜ん、煩ーいっ!! 私はソラちゃんとおネンネしてるのっ!!」
と寝ぼけながら叫んで、
「風圧!」
そのまま風魔法で父上を廊下の壁に追いやったんだ。
父上、ゲフッって言ってるけど大丈夫かな?
「グッ、グハッ! し、しまった。レーメが居たのか。静かに扉を開けるべきだったな……」
うん、大丈夫みたいだ。さすがは魔獣相手に一歩も引かないって言われてる父上だ。
ちなみに母上は既に寝直してるよ……
「ソラ、まだ起きてるか? もう眠そうだな。邪魔したら悪いな。だが父もお前の顔が見たくてな。次こそは静かに扉を開けるからな」
いえ、前回も前々回もなんならその前もバーンッて開けてましたよね、父上。母上もですがこの家ではそういう決まりがあるのかなって思ってましたよ。
「ソラよ、お前のジョブが付与士だったのは残念だけど父も母も気にしてないからな。このまま健やかにスクスクと育ってくれればそれで良い。まあ、剣術は学んで貰おうと思ってるが、父の跡を継ぐのは長男だが、もしかして何処かの領主となるかも知れないから剣術ぐらいは出来ないとな。グレートマシンガーン国の辺境領主であり我が友であるマツディーラ家ではソラより2ヶ月遅れで産まれた女の子にクウという名前をつけたって言ってたよ。で、ソラには今言っても分からないだろうがその子とソラが婚約者となったからな。またソラが5歳になったらちゃんと話すけど今は父がどうしても言っておきたくて話をさせて貰ったよ」
ええーっ!? マツディーラ家のクウちゃんってひょっとして
まあそれは実際に会ってみないと分からないから保留にしておこう。それにしても松寺さんも可哀想に…… 僕なんかが婚約者になってしまって…… 嫌だろうから適当な時期に婚約破棄してあげないとね。
「う〜ん……」
その時、母上が眉間にシワを寄せて寝返りをうったんだ。それを見た父上が瞬間移動かと言うぐらいの早さで部屋から居なくなったよ。うん、寝ぼけてる時の母上は危険だからね。
ちなみにだけど僕はまだ付与師としての力を試してない。この2週間は侍女や屋敷の僕の部屋に訪れる人たちの話を聞いてこの世界の事を知るのを優先したんだ。それに付与してもその効果を自分で確認できないからね。まだベッドから動けないし。
立って歩けるようになったら先ずは自分自身に付与を掛けてみようと思ってるんだけどどうかなぁ?
ああ〜、早く歩けるようになりたいなぁ。
なんて思ってたのがつい昨日の事のようだ。気がつけば僕は2歳になり立って歩いて何なら走れるようになっていたよ。立って走れるのは多分だけど自分にかけた付与のお陰だと思うんだ。
で、その頃には母上も魔獣討伐に復帰してたから僕はコッソリと魔獣討伐に向かう父上と母上に身体強化と耐性向上をかけているんだ。
耐性向上で上げられるのは物理攻撃に対する耐性だけみたい。僕のレベルがまだ0だからだと思う。レベルが上がれば色んな耐性を上げられるように…… なると良いなぁ……
僕のジョブが付与師だっていうのは屋敷に仕えてくれてる使用人さんたち、それに領民にも既に発表してあるんだ。こういう事は隠すと良くないって父上も母上も同意見だったから僕の1歳の領民へのお披露目の時に発表されたよ。
でも領民の人たちは不遇ジョブだと言われている付与師を授かった僕を蔑む事なくちゃんと領主の子息だと敬ってくれてるらしい。まだ屋敷から出られないから執事のボブや僕付きの侍女ヘレンから聞いたんだけどね。
そんなある日の事だったよ。父上と母上が魔獣討伐から帰ってきて首を傾げていたから僕は何かあったのかなと思って黙って2人の話を聞いていたんだ。
「なあレーメ、確かに俺はジャイアントスネークの尻尾に撥ね飛ばされたよな?」
「ええ、私もしっかりと見たわよロマン。何で無傷なの、あなた?」
「いや、それは俺にも分からないんだ」
良かった、どうやら物理攻撃に対する耐性は効果があったみたいだ。身体強化もかけてたから両方が功を奏したのかも知れないけど、怪我なく父上が帰って来られて良かったよ。
その日はそれだけの会話だったんだけど、週があけてのある日の事、僕が2歳と8ヶ月になった時に遂に父上と母上に僕のしてる事がバレたみたいなんだ…… ひょっとして怒られるかな?
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