参拾玖

「君の瞳に乾杯」


 僕のクサい台詞で始まった恋だったが、程なくして彼女に別れを告げられた。


「私を見る貴方の目が怖いの」


 不満はあったが、仕方ない。今回も五月蝿い器ではなく綺麗な中身を愛そう――。

 気泡を纏う彼女の眼球が、シャンパングラスに沈んでいる。実に美しい。


「君の瞳に乾杯」



『瞳の器』

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