リュドス・フォンヘルト・1
🔮
エドラド城の敷地内には、東西南北に4つの職員棟がある。どこも事務作業を担っていて、棟によってそれぞれの役割が分担されていた。
北は財政。南は司法。西と東は軍事。
西は主に魔法力のない歩兵の人事や情報管理。東は主に魔法兵の人事や情報管理、魔導具の立案、その開発予算決定などの業務を担当。
東職員棟は、雄大たちの居る訓練兵用宿舎のA棟からは、北に徒歩15分の距離にある。
ここでは異世界案内人のリュドスも働いていた。
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【エドラド王国・東職員棟・第3職員室】
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第3職員室には、役20名の職員が働いている。窓際の右奥がリュドスの席だ。彼は自分のデスクで、顔写真と名簿を交互に眺めていた。
「こっちのタレ目の男がケニー・ハービンスで……役者みたいな顔立ちの彼がラルフ・デイビッドか……」
ぶつぶつと、3ヶ月後にピックアップされてくる異世界者の顔と名前を覚えている。
職員が1人、また1人と帰っていき、ついには最後の1人になったのも気にせずに、彼は真剣な表情でその作業に没頭していた。
気づけば窓の外はもう薄暗い。定時の時間はとっくに過ぎていたが、彼にとってはそれも日常茶飯事だった。
彼の同僚であるケイギには、「あなたがそこまでする必要も無いので早く帰りなさい」と言われてはいるが、それぐらいは自分の好きにさせろと思っている。
(それにこれは……俺にとっての禊だ)
リュドスは苦虫を噛み潰した表情を見せた。
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