管理人の実力・2


 ケイギは、宿舎について説明を続けている。



「冗談じゃねえ! こんなとこに居てたまるかよ!」


 突然、ビンが大きな声を上げた。


 と同時に、彼は出入り口に向かって走り出した。


 ケイギの目が瞬時に鋭く尖る。雄大はその瞬間を見逃さなかった。


 (なにか、ヤバいことが起きる……)


 不吉な予感がした。



「ビン! 止めときな! あんたの手に負える相手じゃないよ!」


 リタも同じく危険察知をしたようで叫んだ。


「大丈夫っすよ、リタさん! リタさんも一緒に、ここから出ましょう!」


 ビンは真っ直ぐに、出入り口に近づいていく。


「ラグ!」


 ケイギが、手をかざし声を発した。


 すると、開け放たれていた扉が動いて、「バーン!」と音を立てて閉まった。


 そこに居た異世界者らが、顔を見合わせてザワついた。


「なんだこれ……!?」


 ビンが、内側から鍵を開けようとするが一向に扉は開かない。


「無駄ですよ。そのドアは、魔法の鍵を使用しています。魔法でしか開閉できない仕組みなのです。……ドゥロ!」


 ケイギがそう言うと、扉が音を立て勢い良く開いた。


「どうぞ、開きましたよ。お好きにお通りください」

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