第15話  少年達は、楽しむ!

 日曜日。


「ねえ! カズナリ君、最新ニュース」


 カズナリはアダチとのオンライン通話を始めた。


「何? 何?」

「今、西洋妖怪と日本妖怪が戦ってるんだって」

「へえ、そうなんだ」

「それでね、街の空には西洋のドラゴンがいるんだって」

「それで?」

「今、ガーディアンがドラゴンと戦ってるんだって!」


 そこで、カズナリは自分達のことを自慢したくなった。勿論、カズナリ達能力者は外の世界のことを誰にも話してはいけないという掟がある。だが、言った。


「僕からも最新ニュース」

「何? 何?」

「そのドラゴンを、ガーディアン達が倒したらしいよ」


 言ってしまった。カズナリは、少し罪悪感を抱いたが、アダチがガーディアンをヒーローのように思っているのが嬉しくて、とうとう喋ってしまった。


「本当に?」

「うん、友達が言ってた」

「スゴイ、やっぱりガーディアンってカッコイイね!」

「カッコイイかな?」

「カッコイイよ、カッコイイと思わない?」

「そうだね、まあ、カッコイイかなぁ」

「絶対、応援したいもん」

「アダチさんはガーディアンを応援してるんだ」

「勿論! 外に出られたら差し入れ持って行ってあげたい」

「ガーディアンも、ファンがいると知ったら喜ぶと思うよ」

「私、サインが欲しい」

「え? サイン?」

「うん、握手もして欲しい」

「本当にファンなんだね」

「女子の間では、かなり人気だよ」

「マジで?」

「うん、女子の間では、ガーディアンの話題でもちきりよ」

「スゴイな、ガーディアン」

「だって、化け物と戦っているのよ」

「うん、スゴイね」

「どうやって戦うのかな?」

「ガーディアンって、超能力者らしいよ」

「え! 本当に? ますますカッコイイじゃん」

「そうかな?」

「そうよ、超能力だよ、ますます正義のヒーローって感じ」

「そうか、そうだよね」

「どんな超能力を使うのかな?」

「炎を操ったり、風を操ったりするらしいよ」

「カッコイイ-! 会いたい-!」

「そうかな?」

「風を操って、どうやって攻撃するんだろう?」

「得意技は、かまいたち」

「かまいたち、聞いたことがある。風で相手をズタズタに切るのかな?」

「そんな感じだと思うよ」

「イケメンかな?」

「どうだろう? 仮面を被っているらしいよ」

「ふうん、でも、それでイケメンだったらスゴイよね」

「スゴイかな?」

「仮面のヒーローじゃん」

「漫画とかアニメみたいだね」

「そう、そう! 現実にそんなヒーローがいるなんて……会いたいよ-!」

「テンション上がってるね」

「私達の街を守ってくれてるのよ、お礼がしたい」

「その気持ちだけで充分じゃないかな」

「彼等はお金を貰って戦ってるわけじゃないでしょう? 正義のために戦ってるのよ」

「そうだね、誰からも報酬は貰ってないと思う」

「そこもカッコイイのよ」

「なるほど、ガーディアンの良さがわかってきたよ」

「でも、カズナリ君、詳しいね。どこで聞いたの?」

「僕も友人から聞いたんだよ」

「やっぱり噂にはなってるのね」

「そうみたいだね」

「外出したい-!」

「外が妖怪だらけなんだろ?危ないじゃん」

「ガーディアンに守ってもらうもん」

「どうして、そんなにガーディアンを信用出来るの?」

「だって、ドラゴンを倒せるんだよ、無敵でしょ」

「まあ、ドラゴンを倒したのはスゴイね」

「どんな戦いだったのかな」

「ドラゴンは火を吐いたらしいよ」

「うわ、怖い、強そー!」

「砲撃出来るガーディアンと、雷を操るガーディアンをメインに戦ったらしいよ」

「うわー! 砲撃? 雷? もう想像つかない戦闘だね」

「そうだね、まあ、噂だけど」


 カズナリは、“僕がガーディアンだよ”と言いたくて仕方がなかった。

 アダチとカズナリの通話は続いた。


「ガーディアンから貰いたいのはサインだけ?」



「デートしてほしい!」







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る