長すぎる悪夢の始まり4

 演劇?何のことだろう。


 五角形の紙から彼に目線を戻すと、視線が交わってすぐ、抱え上げられた。


「はぁっ!?ちょ、ちょっと何!?」

「お前、本当にあの紙については何も知らないんだな?」

「だから、知らないって言ってるでしょうが!!」


 怒りを滲ませて感情を露わにすれば、彼は目線を逸らして、申し訳なさそうに、怒ったように、眉を吊り上げると五角形の紙から逃げ出すように走り出した。

 がっしりと腰を掴まれているから落ちはしないが、かなりの速度で動いている

 視界はグルグル周り、頭には軽い頭痛が起きた

 妙にリアリティーのある感覚に焦りながら、どうにかして話をしようと口を開こうとした

 その時だった


 _ドォォォォォン


「‥‥‥‥‥」


 走り出した地点‥‥つまり、先程まで居た場所から、大きな爆音と共に煙が舞い込む

 ボヤなんてものではない。恐らく、あの五角形の紙が原因で爆発したのだろう


(じゃあ、私を連れ出したのは、爆発に巻き込まれないため?)


 見下ろすようにヴァルツの顔を見ると、何処かを、何かを睨んでいるようだった。

 ただ、爆発がした方向を見るために一瞬だけ立ち止まり、また逃げるように走り出してしまう


「ちょ、ちょっと!!あの爆発から逃げるなら、もう走らなくていいんじゃないの!?てか、降ろしてくれない!?人の目が‥」

「人?あぁ、もう降りたよ」

「は?」

「危ないからね。君が見つかった時点で、乗客は降ろさせたよ」


 そういえば、連れ去られてる途中、やけに人が少なかった。


(人の居ない場所に誘導されてるのかと思ってたけど、そもそも居なかったのね。

 ‥‥それって、もしかして避難?私に何をするつもりだったんだの!?)


 敵意を込めた目で睨むと、ヴァルツはため息を吐いて、嫌そうに地面に降ろした

 爆発の影響なのか、床は若干傾いていた。

 驚いてヴァルツの袖を掴むと、一瞬だが、嫌そうな顔をされた

 だが、そんなことなかったように微笑むと、肩を掴んでしっかりと立たせてくれて、諭すように語り始めた


「あれば起爆剤だから、まだまだ爆発するよ。早く出たい所だけど、今飛んでるから、聖騎士からの救助が来るまで‥」


(え?この船、飛んでるの??)


 だとすると、あのアナウンスが鳴る前に目をつけられてたのだろうか

 この夢の中の私が何かをした可能性もあるが、私自身は無罪と自信を持って言える。

 だが、アナウンスの前から目を付けられていたとなると、もしかしたら犯罪を犯していたのかも

 まぁ、私の知ったことではないか。目覚めるのだし


「‥だから、ここで待つ。いいね?」

「え?あ、あー‥‥はい」


 色々考えていて、後半は殆ど聞こえなかった


「‥‥すまないね。こちらの手違いで、犯人扱いして、追いかけてしまって。この件については、今度正式に詫びを入れるから、黙っていて欲しいんだ」

「‥分かりました」


 ただの夢だと分かっているのに、彼の発言は大事なものだと確信できる。

 不思議な感覚だ。私は、いつも夢だと分かったら、相手が嫌な発言を言ってこようと、謝ってこようと、なんとも思わないのに

 まるで、現実みたいだ‥


(もしかして、本当に異世界‥?)

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