第16話

 「クリスティーナ様、外に出た理由は…あなたならもうお分かりになられましたね」

 

 「はい、先生、勿論です」


 



 ついにきた、その時が──









 

 クレア先生が血走った目をカッと開いた。

 「これからっ!一周約3km のミュースラット家の庭3周、つまり約9kmを走っていただきます」


 

「うぐぅ…はい」


 「お嬢様、私も共に走らせていただきます。長距離走は体力と忍耐力が必要なトレーニングです。しかし、その達成感と健康への効果は素晴らしいものです。走り切ってさらなる高みを目指しましょう!」


 マーヤ…ありがとう。私、頑張る、走り抜いてみせる

 って、え⁈マーヤその服…いつの間に着替えたの?いやそれよりもなに?その服…全身タイツかよってほどピチッとした体のラインが丸わかりの黒い服?

 そして、普段の服では気づきにくかったけど、マーヤ、スタイルいいね、というよりかなり筋肉ついてるね。メイドって普通そんなに筋肉つくものなの?

 

 「!、お嬢様、この服が気になりますか?」

 

 「う、うん」

 「やはりそうですか!っ申し訳ありません。この服は特別な布を使用していて、お嬢様の分まで準備が間に合いませんでした」

 「特別な布?」

 「はい、この布はシルクとウールをある割合でブレンドしたものに加えなんと魔力を宿した糸を織り込むことで吸水速乾性と伸縮性の高さはもちろん肌触り・光沢、全てが一級品となっております」

 

 「へぇー」

 

 「さらに、さらに、この服の1番の特徴は着用時の締め付け具合、つまり圧力にあります。体に適度な圧を加えることで体幹を安定するため、効率よく手足を動かせます。また、適度な圧は体の血流を良くして疲労軽減、回復促進に効果があります。他にも関節を圧力が守ってくれることで怪我をしにくいなど様々なメリットがあります」

 

 「お、おお」


 「ですが圧力が強すたり、長時間履き続けると、神経障害や血行障害を引き起こすこともあり使用には注意が必要です。しかしそれでも尚あまりあるメリットがあるのでお嬢様には今日、是非着ていただきたかったのですが…申し訳ありません」

 「いいよ、いいよ、気にしなくて」・・・ちょっとその服は私のわがままボディを晒すことになるからいやだ・・まだまだその服を着れる段階(体型)じゃない。

 「ですが!」

 

 「ん?」

 

 「安心してください、明後日までにはお嬢様の分も届く予定ですから」

 

 「え、あ、あの」全然安心できないよ。普通に嫌だ。


 「是非、その時は素晴らしい効果を身をもって体感してください!」

 ・・私にはこの熱すぎる熱意を止められることはできないようだ。

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