第11話 幕間①

 ――朝。僕はベッドの上でじっと天井を見つめていた。


「……結局一睡もできなかった」


 あのあとベッドに自室の潜り込んだところまでは良かった……のだが。

 目を閉じる度にサクラに抱きしめられたときの光景や感触を思い出してしまい悶々としてしまった。

 それに、僕はサクラのことが……。


「ああぁぁああぁぁぁああぁぁぁ……」


 彼女のことが頭から離れない。

 なんなら昨日のことだけじゃなく、一緒にお風呂に入った時の事も思い出してしまう。


「彼女は恩人だ、不逞なことはダメだ、それに僕は人間で彼女は妖精なんだ」


 たとえ見た目に差がなくとも、種族の差は埋められない。

 大体僕はいずれ元の世界に帰らなきゃいけないんだ。

 これ以上サクラとスキンシップを取ったら、いよいよ戻れなくなる。


「……よし」


 そうと決まればやることは一つ。サクラには申し訳ないけど、少しだけ距離を取ろう。

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