第22話
「良かったのかい?」
「……まあ」
ヒラガキの問いに曖昧に頷くルノルド。
「行き先は同じだからな」
「ずっとそればっかりだねえ」
「本当のことだろう」
「そりゃあねい、それだけが事実だ」
リイコとルノルドを繋ぐ物なんてそれだけしかない。行き先が同じだということだけ。
(いや、『永遠』がないことを証明するって言ったか……)
(しかし、どうしたら……)
(曾祖父さんがやったみたいにしぬしかないのか?)
(……ダメだ、それじゃあ誰が証言するのさ)
「『永遠』が無いことの証明、ねい」
「なっ!?おじちゃん、あんた心読めるの!?」
「えっへへ、顔に書いてあるからねい」
「え、嘘?」
ヒラガキがへらへら笑う。
「おじちゃんは『今』が証明だと思うが……」
「ギャハハ!子どもってかわいくねえーっスね!」
「うるさい!さっきからうるさいんだよ!まうまうなんて言っちゃってさ!かわいこ振りやがって!」
「ジュンキチ!気に入らないからってマウマウに突っかからないの」
「そうっスよ〜げしげし」
「おねえちゃん!マウマウが俺の足蹴ってくる!」
「更なるカオス……」
前を歩くリイコたちの声が聞こえる。
「あれは、『永遠』の中じゃあ見られねェと、おじちゃんは思うねい」
「……ああ、なんとなくわかるぜ」
「夜は明けるから楽しいもんなァ……」
ストワード中央、ビル街。毎日再開発が行われているこの土地。ルノルドは子どもの姿で皆と一緒に歩く。人混みの中では身軽な方が良い。
「まずは役所に行かなくちゃだ」
「どうして?それはこの大陸の普通?」
「中央にしばらく滞在する場合は手続きが必要なのさ。50年前からのこの地の普通さ」
窓口にギリギリ届かない手。書類をカウンターに置いて高い声で話す。
「僕はルノルド・エル・レアンドロ……の息子、ジュニアだよ。父サンのお使いできたの」
「あらあかわいい男の子ねえ。誰に用があるのかしら」
「リンフォン・レイ・ストワード!」
―ガッシャーンッ
「……あれっ?大統領はここにいないの?」
ルノルド・ジュニアの小さな口角は上がっていた。
「ルノルド、久しいな」
ニコニコ顔で出迎えてくれたこの人こそが、現在の大統領『リンフォン・レイ・ストワード』である。
「久し振りだねェ。あんたが偶然近くにいて助かったぜ」
「役所を通さなくても直接電話してくれていいのに」
「様式美ってヤツさ。あんたと俺じゃあ身分が違い過ぎるからね」
「……君、怒ってるな」
「もちろん」
「『永遠の機械』は、勝手に入り込んできた」
「……」
「密輸ではない。元々は普通の部品の取引だった。それが彼らの常套手段なのだろうが」
「あんたはそれを問題だとは思わないの?」
「ただの宣伝文句だとばかり……いや、実際そうなのだろう。と、今も思っている。まだ入ってきて一年だからな。何も確証は無い」
「奇遇だね、俺も信じていないのさ」
「では、何故そんなに怒っているのだ?」
声が震えている。この口調になるときのリンフォンは、腰が引けていることをルノルドは知っている。
「嘘だろうが本当だろうが、あんただけ情報を独り占めしていたことに怒っているのさァ……」
「あっ、そ、そう、だった、のだな!!すまない!」
「俺が『永遠』という言葉が嫌いなことはあんたは分かっていただろう。なのに何故言わなかった?」
「こ、こうなるから……?」
面倒なことになるから?
「……悪いね!ギャハハ!!!罰として今後はあんたもこの件にしっかり首を突っ込んでもらうぜェ」
「……え、いや、そんなに大変な問題なのかなあ、これ。き、君は信じていないのだろう?」
「信じていないが、『永遠』なんて名乗っているものを見過ごす訳にはいかないだろう!」
「は、はい……」
「……ルノルド、手続きって嘘?」
リイコの声。ルノルドは大きく頷く。
「手続きなんて要らないさァ!三国時代じゃあないんだからね!俺はコイツに文句を言いに来たかっただけだぜ!よし、行くぜあんたたち!」
「る、ルノルドも何かあったら僕に頼っていいのだ……」
「だーっ!頼むかよ!あんたに世話になるなんてごめんだね!」
「おじちゃん、ルノルドってリイコちゃんのこといえないくらいわがままだと思うんだがねェ……」
「ルノルドさんって、大統領とも繋がってたんですね。ギャハハ!!」
「ねえラト、ダイトウリョウって何?この大陸の人?」
「私の住んでいた森、ダイトウリョウ、いなかった……」
砂時計の王子 4 まこちー @makoz0210
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。砂時計の王子 4の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます