紫陽花の君に

長谷川 千秋

第0話 はじまりはいつも

気づいたら好きになっていた、なんて嘘だと思っていた

恋の仕方も忘れかけていた頃にまた、人を好きになることを知った

気づいたら目で追っていた

あなたの笑顔が声が胸に突き刺さって

体温が心拍数が上がって体が硬直して

指先がしびれたように上手く動かせない

ガラス越しにあなたを見る

すれ違いざまにふわりと香る花の匂い

これは女の仕事だとあからさまにわかる

叶わないものはどうしていつも美しく見えるのか


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