とある男の上司の話

 全くツイてないったらないぜ!せっかくオレ様がプロジェクトの少ない予算を増やすべく努力したのに、それを咎めた奴の口封じを兼ねてオレ様が遊んでやったらソイツのミスで次世代児が出来ちまいやがった!しかも処分しろと言ったら逆にこっちを非難してくるしよぉ!


 しかぁし!要領のいいオレ様が最高にいい作戦を思いついた時は我ながら戦慄したね!


 普段から目障りな職場のアイツに全部おっ被せて、ついでに箔付けにいくつか罪状を増やして秩序維持局に通報してやった!


 クックックッ!職場で連行されて行ったアイツの顔!私は何も感じてませんよって表情して内心は相当焦ってたと見たね!このオレ様には分かるんだ!


 お陰でミスった馬鹿の脅しにも使えたし、法務局での証言もしっかり付け届けした法務官に証言を認めてもらって、アイツは国家反逆罪の大罪人!


 最後の足掻きで深宇宙探査に志願したそうだが、小物はここで見過ごして後で酷い目に遭うが、オレ様は最後まで油断しない!ツテをフル活用してわざわざにもお出でくださったのだからな…!


 そんな訳で、オレ様達はアイツの死刑執行の為急遽作られたロケット発射場にあるロケットの司令塔へわざわざ来たのだった。


 司令塔へ入ると、法務局の人員と共にアイツの友人とやらの法務局員が何やら情報端末を弄っている所だった!やはり最後まで油断しなくて正解だった!




「おやおやぁ?こんな時にこんな所でアイツの友人でもある高等法務官殿が何をしてらっしゃるのかな?」



「!!お前は!…これは法務官として深宇宙探査員からの要請を遂行しているだけだ…そちらこそこのような所で何をしている!さっさと退去したまえ!」



「控えよ!こちらにいらっしゃるお方に対して無礼であるぞ!こちらの方はかの…」

「フィ〜…こんな高い所まで歩かされるとは思わなかったジョ!おいキサマ!特別高等管理官たるワシが此処までわざわざ来てやったのだジョ!何も無かったらではタダでは済まさんジョ!」

「…そう!特別高等管理官であらせられるタダイルーゾ様だ!この度数十年振りの深宇宙探査志願者に対して特別査察を実施するためにわざわざ来られたのだ!畏まって迎えよ!」



「…これは失礼いたしましたタダイルーゾ様…私は一等法務官の…」

「キサマの名前なんぞどうでもいいジョ!それより今回深宇宙探査に赴く死刑囚は国家反逆罪に問われてるジョ!よって私の随行員がこれからここを再点検するジョ!者共!さっさと終わらせるジョ!」



「そんな!お待ち下さい!これは法務官の権限でもある…」

「うるせぇジョ!キサマらは下がってるジョ!グズグズしていると父様に言ってキサマら全員辞めさせてやるジョ!オマエラもさっさと点検を終わらせるジョ!」




 思った通り…!巷で有名なバカ…おっと!多少抜けている事で有名なタダイルーゾはワガママで気分屋で規則破りも平気でやる方だ…それだけに上手く扱えばこれ程心強い味方もいない!

 この国の長たる国家元帥と国家管理局長との間に遅くに出来たため甘やかされて成長したからな…もはや歩く災害!しかし今はそれがオレ様への追い風となる!

 何やらヤツもタダイルーゾが連れてきた随行員に文句を言っているが、バカめ!ソイツら全員そんな正論聞くわけないだろう!上手い事利益を得て楽しんでる奴らばかりだからな!3日後に口封じを兼ねて遊んだあのポンコツを差し出す事になってるんだからな!




「タダイルーゾ様!この情報端末から進路情報の他に用途不明なデータが3エクーサも発見されました!」



「……ん〜…それはどれくらいのものだジョ?」



「タダイルーゾ様の情報端末に入っておりますデータ量全てが800以上入る量であります!」



「は…?な、なんだそれはジョ?!ワシの端末はこの前5ペータで多過ぎると言われたのにそんなのおかしいジョ!すぐさま中身を調べるジョ!」



「お待ち下さい!そのデータは法務官の任務の一部で…」

「やかましいジョ!ワシが直々に調べるジョ!こ奴らを抑えておけジョ!」




 3エクーサ?!何だその莫大なデータ量は?!きっとオレ様の罪を告白した映像や証拠のデータに違いない!さては打ち上がった後で関係各所に送信されるように設定してあったのか!

 そうはいくか!全て回収して消去してやるぞ!




「ん〜…このデータを見るにはこれかジョ?」




タダイルーゾバカ様がデータを弄ると、中のデータ映像が再生され司令塔に音声が響き渡った。












『いけませんわチャーンケン様…私には決まっている相手が…』


『そんな事言って…貴方のボディは正直なようですよ?ほら、こんな所がこんな風に…』


『ああ…!ゴ…ゴメンなさい…!もう耐えられませんわ…!』




「「「「………………」」」」




何だこれは?ひょっとしてこの莫大データ全部猥褻映像なのか…?




「……あ…あの…タダイルーゾ様…スクリーニングをした所…壊れているデータも有りましたが…全て似たような映像や画像のデータのようですが……い、いかがしましょう…」




随行員が恐る恐るといった感じでタダイルーゾへ確認を取った…それはそうだ…わざわざ来たのに見つかったデータがこんな物では…あっ!これじゃあオレ様も危うい!隙を見て逃げれるようにしないと…




「ブッ…ブワッハッハッハ!!!!わ、わざわざ死にに行くのに1人はよほど寂しいとみえるジョ!オイ!本当に同じようなデータなのかジョ?」



「はい、それは間違いございません。」



「フィ〜、久々に大笑いしたジョ!よしっ!生命をかけた笑いに免じてそのデータはそのままにしておいてやるジョ!いやぁ~!この後の昼が美味しく感じそうだジョ!」



「ありがとうございます…では我々は作業を再開いたします…」



「うむ!しっかりやるジョ!」




うーむ…気にし過ぎだったか?ヤツも人並みの感性があったという事か…しかしあのデータ量はいくら何でも多過ぎるような…?




「オイキサマ!わざわざここまで来させられて苦労したからには相応の用意は有るだろうジョ?」



「も、もちろんですよタダイルーゾ様!スレてない人物を用意しておりますのでお好きにお使い下さいませ!」


「グホッホッホッ!よいジョよいジョ!またなにかあれば連絡をするジョ!対価を寄越せば少しは力を貸すジョ!」



「はっ!ありがとうございます!では今日の所はこの後に向かうということで…」




まあいいさ…どのみち打ち上がったらもう後は心配することはない!とりあえずポンコツに連絡してこのバカの相手を押し付けるとしよう。


オレ様はまだまだ登りつめてやる!こんな中途半端な地位や名誉では終わらんぞ!

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