第7話 極悪〈人質戦法〉発動
「卑怯な手でゼンナを倒したからって調子に乗るんじゃないよ。あたしの百花繚乱はもう使えるんだ。オトノちゃん、狙いはあのミズク(ガキ)だ」
「は、はいッ!」
オトノが体当たりを仕掛け、危うく回避したヒノメ班が分断される。横っ飛びで逃げたミズクの足へと伸びたツタが巻き付いていた。
「食らいな、〈百花繚乱・
ミズクの足に巻き付いたツタが波打ち、徐々にカレギの方に引きずっていく。ツタがカレギから分離して巨大化。さらにツタはミズクの上半身を覆い隠していった。
数秒のときを経て、複雑に絡み合ったツタは立方体を形成し、その内部にミズクを閉じ込める檻と化していた。宙に浮く檻のなかでミズクが本から光条を放って脱出を試みているものの、頑強な檻は内部から破壊できないようだった。
『これこそカレギ・ザオウ・〈
オトノが立ち塞がって動けないヒノメとムイの耳にクロワの実況が届く。
『
クロワの解説を聞いてヒノメが現状を理解する。
「ミズクちゃんがいないとなると、私がカレギを倒すしか方法は無いのか……」
カレギに近づくにはオトノをやり過ごす必要があり、カレギ自身も侮れない力量を有する。時間が経てばゼンナも戦線復帰してくるだろう。
ミズクが解放されるもっとも確実な方法は、ミズクに自身を
「ミ、ミズクちゃん! 自分でさ、その、
自分の言葉の内容に負い目があるため、歯切れ悪くヒノメは言った。それでも意図は伝わったようで、檻のなかでミズクは本を自身に向けて光条を放とうとする。
「ダメぇー!」
ムイの大声が戦場に響き、思わずミズクが動きを止めた。
「ムイちゃん、どうしたの?」
「疑似的な肉体だとしても、自分で自分を傷つけるなんてこと、させちゃダメだよ!」
「でも、ミズクちゃんが捕まったままだと、勝てないし……」
語気の弱くなるヒノメには応じず、ムイはミズクへと視線を移す。
「わたしが助けに行くからー、待っててー!」
去就を決めかねていたようだったミズクはムイの叫びを聞いて頷いた。ムイが歩を進め、ヒノメが迷いながらも後を追う。
『意見の相違から不協和音が鳴るヒノメ班。これも〈人質戦法〉の効果の一つでもあります。ヒノメちゃんとムイちゃんは、どのような結論を選ぶのでしょうか⁉』
ミズクを閉じ込めた檻に近づこうとするムイの前に、オトノが立ちはだかる。ミズクを助けたいという気概はあってもムイには攻撃手段が無いため、睨み合うしかすべは無い。
隙を突いたヒノメがオトノの脇をすり抜けてカレギに肉薄。余裕の笑みを浮かべるカレギは檻の後方に退避し、檻を盾にしてヒノメの刃から逃れる。舌打ちしたヒノメが檻を回り込もうとしたとき、檻を挟んだ向こうからツタが伸びて四肢に絡みついた。
「わッ⁉」
さらに別方向から走ったツタがムイの手首に巻き付き、その動きを阻害する。オトノが体当たりを見舞って瞬時にムイがハナビラと化して四散した。
四肢を締め上げるツタに抗うヒノメだったが、凄まじい力で上空に放り上げられる。どうにか空中で体勢を立て直そうとするヒノメの視界に、遠くから飛来する影が映った。
『空中へと放り投げられたヒノメちゃんへと、爆撃を起こす種子が飛び来る! ここでゼンナちゃんが復帰。私に触れるな、という花言葉に恥じない怒りの反撃だー!』
空中では防御も回避も行えずヒノメは無力感を噛みしめ、自身へと飛んでくる種子を見つめるしかできなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます