黄色のレインブーツ

気温も高く湿度も高い7月初旬。

晴れなのか、曇りなのか、はたまた大雨なのか

気候が安定しない日々。

朝5時台でも25℃を超え、お散歩も長くはできず。

「ソラ、今日はここまでにしよう」

いつもより短い距離で帰路に向かう日々。


とある雨の休日、少し涼しい朝。

涼しく寝心地もよく、布団から出られない。

いつもより寝坊助な僕に痺れを切らしたソラは顔をベロベロして起こしにくる。

珍しく9時を過ぎても23℃。

しかし外はシトシトと雨が降り続ける。

ソラは「お散歩いかないの?」という顔でみてくる。


そんな顔で見られたら行かざるえない。

「お散歩いこうか」ソラに声をかける。

途端に尻尾の動きが激しくなり、僕の顔中舐めて喜びを表現してくる。


雨のお散歩には犬用のレインコートを着せる。

ソラのレインコートは小学校低学年の子が着るような黄色のレインコート。

着せる度、小学生!と心の中でからかってしまう。


僕のレインブーツを探していると懐かしい箱が出てきた。

開けるとソラのレイコートと同じ色のレインブーツ。

彼女のレインブーツ。

彼女とソラのレイコートを探しにショッピングモールに行った時、

同じ色のレインブーツを靴屋で見つけ衝動買いしたものだ。


気分が塞ぐ雨の日も黄色が彩るお散歩の思い出。


「これも片付けないと」

箱をそっと閉める。


少しずつ、彼女との思い出が減っていく部屋。

少しずつ前向きになれることを祈って。

「ソラ、さあお散歩行こうか」

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ソラと僕の徒然草 ゆりのすけ @kinakokko

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