第48話 清廉なる信仰、彼方からの光、優しい灯火・前



「なー結、ちょっと慶次叔父さんに教えてくれるか」

「いいよ」

「結のお父さんの背中に、誰がいるか見えるか?」

「んー……わかんない」

「そうか。きらきら光ってたり、白ーい影みたいなのは?」

「きらきら? んー……」

「そっか、分かんないか」

「うん……でも、みどりのお兄さんはほんとだよ?」

「分かってるって。結が嘘つきだなんて、慶次叔父さんも結のお父さんもさっちゃんも、だーれもそんなこと思ってないぞー」

「ほんと? 怒らない?」

「怒るわけないだろー。結が怒られるんだったら、慶次叔父さんはもっと怒られてるぞ。いいか結、聞いて驚け。結のお父さんの背中にはな、白い狼さんと金色の狐さんと変なおっさんがいるんだぞー」

 ぶふぉっ。

「……おい、幸」

「す、すいません稜さん。決してわざと噴いたわけではないんですが、あああすいません高い車に……!」

 狼狽えながら同時に慌てつつ、幸は鞄の中からハンカチを引っ張り出し、目の前を拭いた。

 ここは車内。

 運転手は氷室、助手席に幸。そして後部座席には氷室家凸凹コンビこと、慶次と結が乗っている。

 目的地は偽装結婚会場となる氷室家懇意の教会である。下見が終わった後は衣装合わせをする為に、こちらも氷室家の伝手である衣装屋に向かうこととなっており、偽装結婚まで待ったなしの状況だ。

 本来であれば氷室と幸の二人がいれば事足りる用事である。だが出がけに結が幸と一緒に居たいと手を離さず、それに対し氷室は留守番を言い含めようとしたのだが、幸が「一緒に行こう」と快諾したところ、子守り要員である慶次も必然追加となり、結果として四人の珍道中となっている次第だ。


 楽しく会話をしながらの道中には何ら問題はない。

 だがしかし、その中身が問題なのだとはどうして言えようか。


 幸がペットボトルの茶を噴いたのは、過失というよりはむしろ不可抗力だ。

 緑のお兄さんは分かる。正式名称は大樹たいじゅきみ。先ほど朝の食卓に話題が上ったばかりの御仁だ。詳細は後で慶次に訊いてみるにしても、氷室家でも家長の真しか見えないこと、その真が「神様だ」と結に言って聞かせていたことから、本当に高貴というか神々しい存在らしいとおぼろげながら信じることができる。

 そして、白と金色の狼とやらも、まあ分かる。多分そういう類の何かなのだろう。慶次が「背中に」と言っている辺りから察するに、守護霊みたいなものなのかな、程度には予想がつく。


 でも「変なおっさん」だけは駄目だ。


 それまでの凄そうな面子から一転、小物臭が半端ない。「おっさん」だけでも残念なのに、頭に「変な」ときた。「疲れた」とか「情けない」という修飾語よりはマシかもしれないが、下方に向かって比べても微妙さは拭い去れず、よって頂けないにも程がある。

 その世界が見えない幸は思わず怪訝な顔で後ろを振り返った。

 ところが結は不思議そうな顔をしつつも、「ふーんそうなんだ」とあっさり受け入れていた。その事実に二度目の衝撃を受けつつ幸が慶次を見ると、爽快な笑顔が返ってきた。

「大丈夫大丈夫、変なおっさんが一番強いから!」

 いや、聞きたいのはそういうことじゃない。

 危うく幸の口から本音が飛び出そうになったが、とりあえずは「そ、そうですか」の相槌を打てただけ努力を認められても良いと思う。

「それにしても、結は檀叔母さんに似てるんだなあ」

 慶次が結の小さな頭をぐりぐりと撫でている。

 細い首がその度に前後左右に揺れるが、お構いなしだ。結は結でまったく意に介していないようで、撫でられつつも首をことりと傾げて言った。

「まゆみおばさん? どうして?」

「生き物よりも、自然にあるものを見るのが得意だからさ。でもな、大樹の君が見えるってことは結の方が凄いな」

「けいじおじさんは?」

「俺か? 俺はどっちも見えるけど、生き物の方が得意だなー」

「どっちも見えるの?」

「おう、一応どっちも見えるぞー。大樹の君はぼんやりだけどな。そうだ、真じいちゃんはもっと凄いぞ? あの人は何でも、ぜーんぶ見えるんだ。だから、結が何か見えたら俺か、真じいちゃんに言うんだぞ。お父さんは駄目だ」

「なんで? なんでおとうさんはダメなの?」

「お父さんの目はほとんど何にも見えないんだよ。残念だけど、そこはさっちゃんと一緒だな」

「……見えないの? おとうさん、氷室なのに?」

 鋭い返しが出た。

 結から発せられた質問は、今朝方の結婚騒動の発端と言っていい内容だ。一瞬この話がどう転がるのか予想もできず、幸は緊張して氷室の横顔を窺った。

 端正な顔はちらりと視線を寄越してきたが、特に何かを言うことは無かった。

 是正や差し止めをしようとしないのはつまり、流れに任せるということだろうか。幸がもう一度後ろに首を捻ると、存外に真面目な顔をした慶次が結と向き合っていた。

「そうだな。結の言う通り、氷室は見える目が多い。だけど全員がそうなるわけじゃない。氷室の力は一つじゃなくて、色んな個性がある。結の目は大樹の君が見えるけど、慶次叔父さんはあんまり見えない。でも結は、結のお父さんの背中にいる守り人が見えない。慶次叔父さんは見える。檀叔母さんは石の本当の姿を見ることができるけど、大樹の君は見えない。色々だ」

「……いろいろ?」

「そう。結のお父さんは、大樹の君も背中の守り人もたまたま見えないだけだ。でもな、結のお父さんは『緑の手』なんだぞ?」

「みどりのて?」

「植物と話ができるんだ。木とか花とかな。あと、結が怪我したり痛かったりしたら、治せるぞ。痛いの痛いの飛んでけーって」

「いたいのとんでくの?」

「おう。結のお父さんは見えなくても凄いんだぞー。『緑の手』は、真じいちゃんも慶次叔父さんも誰も真似できないんだ」

 慶次の説明をどこまで理解しているのかは量りかねるが、結は大きな瞳を瞬いて、呆けたように運転席に座る氷室――彼女の父をきょとりと見た。

 僅かに首を傾げている様は、難しい話を彼女なりに理解しようと努めているように感じられる。その合間にも、慶次の大きな手は慈しむように柔らかな髪を撫でていた。


 その手は「ようこそ」と言っているようでもあり、「おかえり」と言っているようでもあった。

 優しい手。

 心配することなどない、何ものも恐れずとも良い、絶対に離さないから、と約束するように情感が溢れている。


 彼らの見えている世界はどんな風なのだろう。

 未知なるものが少しだけ怖くもあるが、それでも彼らのように優しくなれるのだとしたら、少しだけでいい、不思議なその世界を垣間見ることができたなら良かったのに、と幸は思った。

 そこに信仰が生きていたから、氷室という家もまた在った。

 そう氷室は言っていが、本当は逆だったのではないのか。不意にそんな疑問が過ぎる。

 異能を持つ者は結がそうだったように、かくも簡単に疎まれただろう。それでも尚彼らが優しく向き合い続けたから、そこにいつしか信仰が生まれたのではなかろうか。

 確かめる術は最早ない。

 だがそうであって欲しい、そうに違いないと強く信じる自分がいた。

 胸の奥が温かくなる。氷室に出逢ってからこの感覚が増えたように思う。

 噛みしめていると、背中で衣擦れの音が聞こえた。

「だからな、結。結婚したとしても、さっちゃんが結と同じものを見ることはできないんだ」

 最初に焚き付けた責任を取るように、静かだが噛んで含めるように慶次が言った。

 核心に迫ったのが分かる。

 結はどんな言葉を返すだろう。そうであるのならば、一緒でなくとも良いと諦めるだろうか。固唾を飲んで息を詰める幸を他所に、力なくふるふると、結が首を横に振ったのが視界の端に映った。

「でも、結、さっちゃんと一緒がいい……」

「見えなくても、か?」

 それは厳しいのでは、と喉から出かかった。

 慶次の説明は至極丁寧だったとはいえ、結はまだ四歳の幼児だ。内容の十割を理解しているとは到底思えない。それなのに、詰め寄るようなその物言いは、結を追い込んでしまいはしないだろうか。

 気にしないように進行方向を眺めていたが、もう一度幸は後部座席を振り返った。

 結と目が合う。

 次いで、小さな唇から零れた言葉に、幸は胸を衝かれた。


「さっちゃん、好き。結と同じじゃなくても、好き」


 無条件に寄り添われた心に、一瞬、呼吸を忘れた。





 

「……そっか。結はさっちゃんが好きか」

 切なく張り詰めた空気を溶かしたのは、慶次だった。

 それをできるのが慶次しかいなかった、と言った方が正しい。幸も氷室も、この場で簡単に頷けない事情がある。曖昧に笑うことさえできず黙り込んだ自分自身が、幸はただひたすらに後ろめたかった。

 ありがとう、と。

 理由の如何はさしたる問題ではない。好きと言ってくれる心に、ただ同じく寄り添い返してあげたい。けれど同時に、きっと釣り合わないという引け目が鎌首をもたげる。そして気持ちが狭間に落ちて、身動きが取れなくなるのだ。

 と、その時ハンドルを握る氷室の手が大きく回った。

 車が左折し、私有地のような脇道に入ったかと思うと、すぐにそれと分かる教会が目の前に現れた。

 綺麗に切り揃えられた植木がいざなうように立ち並ぶ、レンガを埋め込んだ小道が正面へと続いている。それを横目に見ながら、教会の横手にある駐車場に氷室は車を停めた。

 特に白線で区切られているわけではないが、およそ十台は駐車できそうな広さがある。しかし今日は誰もいないのか、他に車は一台も見当たらなかった。

「その話は後でな。着いたぞ」

 言いながら車内にぐるりと視線を走らせ、氷室がエンジンを切った。


*     *     *     *


 教会の正面に改めて回ると、それなりに大きな欧風の建屋だった。

 今まさに幸たちが歩いているレンガの小道と同じ、優しい赤茶色のレンガで教会も建てられている。屋根は三角、両脇に一対の屋根より高い尖塔がある。入口は木の重厚な扉だが、一回り大きく扉を取り囲む白い縁取りが優美だ。

 大きさだけを取れば、テレビで見るような本場ヨーロッパの大聖堂とは比べるべくもないが、しかし確かにここも信仰の拠り所であることが分かる。

 氷室の実家の神社とはまた違う空気だ。

 その理由の一端は、おそらく扉の前に立ち穏やかな笑みを浮かべる男性にあるのだろう。黒く簡素ながら縦襟の、足首まで隠れる裾の長い、いわゆる神父服を身に纏っている。

 壮年を越え、おそらく老年に入ろうかという白髪碧眼の彼は、幸たちを目の前にしてより一層目尻の皺を深くした。

「待っていましたよ」

 彫りが深く背の高いその人は、外国人のお手本のように綺麗な青い瞳だった。

 落ち着いた声も外見に相応しく、柔らかなテナーだった。

 しかし、流暢すぎる日本語に違和感が拭えないのもまた事実だった。

「しばらくお目にかかれずご無礼を、神父」

「便りが無いのは壮健でいる証拠と聞きます。大過なさそうで何よりです」

 柔和に細められた目は、心の底から氷室との再会を喜んでいるようだった。見れば、慶次も懐かしそうに親しげな笑みを浮かべて挨拶を交わしている。神社と教会という異なる信仰を抱く彼らに旧交があるというのは、確からしい。

 そんな彼らを一歩下がった場所で眺めながら、幸は「本当に本物の神父さんだったんだ……」と感慨深さを抱いていた。その時点で既に、流暢な日本語のことなど些事となっていた。


 大きくいって、神父と呼ばれるのはキリスト教の中でもカトリックであり、プロテスタントのそれは牧師と呼ぶ。大学一年生の時に取った宗教に関する講義で、幸はそう習った。

 かの有名なローマ法王を頂点に戴くカトリックは厳格で、本来信者でなければ結婚の宣誓を許さない性質を持っており、良くある結婚式での宣誓を取り持つのはそのほとんどが牧師である、と当時の教授が豆知識として言っていた。その教授はついでに牧師も本物である確率は低く、実態は外国人のアルバイトが多いなどと続け、女学生の夢を鮮やかに叩き割った人でもある。

 一部余談があったが、一口に同じ宗教と言ってもその宗派は様々であることを思いがけず知り、今でも鮮明に覚えている話だ。

 だから、最初に氷室が「懇意にしている神父がいる」と口にした時も、半信半疑だった。

 神社仏閣が幅を利かせるこの日本において、キリスト教は明らかにマイナー宗教だ。幸自身、大学の教授に教えてもらうまでは神父と牧師の違いなど知らず、むしろ同じものだと信じていた。いくら氷室がものを知っていたとしても自分の信仰する宗教ではないのだ、神父と牧師を軽く混同したのだろうと思っていた。

 それがここにきてまさかの本物神父とは。

 大学の講堂で夢を叩き割られた当時はかの教授に何とも言えない微妙な気持ちを抱いたものだが、今となっては授けられた知識に感謝である。もしも知らないままだったとしたら、これからこの神父がしようとしてくれていることの重みに気付けなかっただろう。


 歴史ある神社を守る一族である氷室家と、キリスト教の中でも厳格なカトリック神父。

 両者の間に一体どんな歴史がありこの不思議な繋がりとなっているのか、傍目に接点はまるで見つけられない。まして、信者ではない氷室と幸の宣誓を請け負ってくれるなど、カトリックという宗派を鑑みるにつくづく疑問だ。

 幸が脳内を疑問符で埋め尽くしていると、白髪の神父は結に優しく愛想を振った後、落ち着いた所作で正面扉に一行を案内した。

 古い音で軋みながら、扉が開かれる。

 レンガの深い色の所為か引き締まった外観とは裏腹に、中はかなり奥行があった。足元から真っ直ぐに伸びる身廊を目で辿ると、行き着いた最奥に祭壇がある。いわゆる聖堂と呼ばれる空間だ。高い天井はくりぬかれるように上に広がり、空間が縦に深く見える。それを支える列柱は、上部でアーチを描きながらそれぞれ繋がっている。

 高い位置にある両端のステンドガラスから色とりどりの光が差し込み、それらに照らされるように、整然と並ぶ祈りの為の簡素な木のベンチが幾つも連なっている。ゴシック様式と言うのだろうか、規模は異なるが、世界の紀行番組などで時折特集されるヨーロッパの大聖堂と雰囲気がとても良く似ている。


 静謐な空間だ。


 一歩足を踏み入れるだけで、不思議とあらゆる音が遠ざかったような感覚に陥る。神父がゆっくりと閉ざした正面扉は、ごぉん、と柔らかく荘厳な音を響かせた。

 差し降りてくるとりどりの光が美しい。

 その光の向こうに霞む祭壇は、近寄り難い清らかさに包まれているような気がする。近づくことさえ恐れ多い、そんな心持ちにさせられる。


 けれど凄絶に、何もかもが美しい。

 沈黙する空気さえも。


 呆けながらただ無言で見惚れていると、氷室の肉声が幸を現実に引き戻した。

「神父にはご無理をお願いして、言葉もありません」

「私がここに立つ理由になった恩人たってのお願いです。確かに私の信じる道は厳しくありますが、恩返しさえ許されないような狭量な信仰ではないはずです」

 神父の声と言葉は共に慈愛に満ちていた。

 耳にするだけでどこか安心できる音だが、やはり気になる内容が含まれており、思わず幸は「あの、」と話しかけた。すぐに神父が微笑を浮かべたまま向き直ってくれる。一つ頭を下げてから、幸は切り出した。

「神父様の宗派は、カトリック、ですよね?」

「ええ。良くお分かりになりましたね」

「神父様と呼びかけて否定されませんでしたし、厳しい信仰の道だとおっしゃいましたから」

 神父を名乗れる宗派はカトリックと東方正教会の二つ、そして殊の外厳格とくれば、おそらくはカトリックだ。

 おや、と意外そうに神父が眉を持ち上げた。

「どこかで学ばれたのですか?」

「はい。大学で、ほんの少しだけですが」

「なるほど、道理で」

「それで、あの……私はキリスト教徒ではありません。結婚は、教会の七つの秘跡にあたると学びました。信者ではないものが受けることは許されないのではありませんか。いくら私たちに事情があるからと言っても、神父様、ましてカトリックの方なら尚更、そんな秘跡を授けるなんて」

 到底できない、むしろお願いしてはいけないことだ。

 少しかじった程度とはいえ、勉強したから分かる。信仰に生きる彼らの大切にしているものは、どこまでも崇高で尊い。この現代社会、特に日本において「信仰に生きる」生き方が賞賛されることは少ないが、彼らの人生を懸けて立てる誓いは何人にも不可侵であるし、それだけの覚悟を伴うものでもある。

 彼らは独身を貫き、その生涯を司牧に捧げる。

 まして教会には厳格な序列があり、神父――つまり司祭とは、誰でも気軽になろうと思ってなれるような代物ではない。その是非は横に置くにしても、気の遠くなるような時間を勉強と修練に割いて今の神父があるはずなのだ。

「ここに来て、この綺麗な聖堂を見て澄んだ空気を感じても、私はキリスト教徒になろうという覚悟は持てません。稜さんは実家が別の神職ですから無理だとしても、お願いする以上は本来であれば私の方が信者になるのが筋です。私には想像もつきませんが、それでも、神父様の信じて歩んでこられた長い道を思うと、そんな私がお願いしていいお話ではありません」

 言葉を重ねるほどに、罪悪感が募っていく。

 普通に結婚式を挙げるのだとしても、新郎新婦共に信者ではないのだとすればそれはその信仰への冒涜だ。にも拘らず、幸たちが踏み切ろうとしているのはそれさえも偽りで、愛や尊敬などとは程遠い偽装結婚なのである。

 心がざわつく。

 清廉潔白な信仰に、自分のやましい心を見透かされそうだ。自分の心が汚れている、そんな事実を突きつけられてしまいそうで、これ以上はもう進めない。


 逃げも隠れもできない。

 まして誤魔化すなど。


 幸は唇を強く噛んで言葉を探した。だが相応しいそれらが見つかる前に、神父が口を開いた。

「……嬉しいですね」

 え、何が。

 相槌として相応しくない神父の言葉に、幸は瞠目した。 

「思った以上にあなたは私たちのことを勉強してくれているようです」

「いいえ、そんなことは」

「ない、と言いますか? いいえ、ありますよ。日本でキリスト教徒でもなく『秘跡』という言葉を知る人間は、そう多くありません。そんなあなたに敬意を表して、少し昔話をしましょう」

 目元を緩めた神父がゆっくりと、促すように聖堂の中を歩き始めた。

 聖堂の最奥、祭壇に向かって伸びる身廊をゆっくりと進む。朝の光が沢山のステンドガラスを通して差し降りて、華やかにまるで祝福を受けるようにその道は輝いた。


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