乙女ゲームの第三王子に転生した俺は、推し(悪役令嬢)の死亡フラグをへし折っていちゃいちゃしたい!!!

ぺたこんモチモチ

第1話 第三王子思い出す




「どうにか、どうにかして救えないのだろうか……俺の推しを!」


画面に向かって叫び、頭を抱える俺がプレイしているのは、

『〜絆を紡ぐ聖戦のトキメキ〜』という乙女ゲームだ。


内容はよくある魔術と剣のファンタジー世界。主人公セリアは魔法と呼ばれる特別な力を持ち、その力で魔族や裏組織と戦いながら攻略対象との仲を深めていく、王道のストーリーである。


このゲームがなぜ売れたのか。それは乙女ゲームでは珍しく鬱展開が数多く、難易度も高かったため、ゲーマーたちの心を掴んだからだ。

そんな乙女ゲームをやり込んでいる俺だが、元々ゲームには全く興味がなかった。

しかし、電車内の広告で見た『〜絆を紡ぐ聖戦のトキメキ〜』の悪役令嬢、レフィたんことレフィリア・ラトランドにガチ恋してしまったのだ。

そこからの流れは早かった。すぐにゲームを購入し、早速プレイを始めたのだが……。





レフィたんは、どのルートをたどっても死ぬのだ。

ただ死ぬのではない。幼少期にさまざまな事件に巻き込まれ、婚約者以外信用できなくなった挙句、その婚約者に捨てられて追放され、強姦に遭い死んだり。魔族に体を乗っ取られ、主人公と攻略対象に殺されたり。魔物に生きたまま卵を植え付けられて死んだり。

他にもさまざまな残酷な死に方をする。どのルートでも、隠しルートでさえも、残酷な死が待っている。

何度も周回し、追加コンテンツや新ルートを繰り返しても、結果は同じだった。

その度に俺の心は痛み、傷ついた。そんなことを繰り返し、そして気づけば乙女ゲーム『〜絆を紡ぐ聖戦のトキメキ〜』のサービスが終了。完全にレフィたんを救えなくなった俺は、悲しみに暮れてやけ酒をし、ふらふらと夜道を歩き、そのまま……。















車に轢かれた。
















「お初にお目にかかります、アルフォンス殿下。ラトランド侯爵家の長女、レフィリア・ラトランドと申します」


落ち着いた雰囲気、丁寧な作法。何より人形のように整った顔立ちに、碧色の瞳。肩まで伸びる髪の毛は夜空のような鮮やかな黒色。

目の前にいる女の子に見惚れると同時に、頭の中に記憶が流れ込んでくる。


この記憶は……なんだ? そうだ、俺はレフィたんを救えなくて悲しみに暮れて、そのまま車に轢かれて——ってそうじゃない。あれ? なんで生きてるんだ?


「っ!」


そうだ。「私」いや「俺」は、ライトノート王国第三王子アルフォンス・ライトノート。容姿端麗、剣術も魔術も天賦の才があり神童と呼ばれている。そして今、俺の目の前にいるのは、父上の旧友であるラトランド侯爵家の長女であり、俺の婚約者レフィリア——。



うん……ん? え?



「あの、アルフォンス殿下? 何か粗相をいたしましたでしょうか……?」


少し不安げに尋ねてくる、幼げながら綺麗な声。何度も聞いたことがある……。

「レフィリアたん……?」


「たん? えっと、はい殿下。レフィリア・ラトランドでございます」










え? え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!

嘘……レフィたん? え、待って、待って、待って。


「あ、あの、アルフォンス殿下? お体がすぐれないのでしょうか……?」


心配してくれてる! 可愛い! ……じゃない。と、とりあえず挨拶を……。


「あ、えっと、大丈夫。少し緊張しちゃって。第三王子アルフォンス・ライトノートです。は、初めまして……」


「神童と呼ばれるアルフォンス殿下でも緊張するのですね! こちらこそ、初めましてアルフォンス殿下!」


あ、その笑顔は反則。可愛すぎる、尊い、浄化されそう……じゃない! じゃない!
















俺……。

レフィリアたんの婚約者のアルフォンスになってるんだけどおおおおお!?






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乙女ゲームの第三王子に転生した俺は、推し(悪役令嬢)の死亡フラグをへし折っていちゃいちゃしたい!!! ぺたこんモチモチ @petakon

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