枯冷え

誰も居ない灯りを消して

煩い夜景のなかを歩く

滅多に買わないカフェラテは

温度の枯れた指先で冷まして


半透明の亡霊のように

映った影はきっと真実

2本遅らせた新快速を

能天気だと羨んだ


思うように吸えない息は

誰かの酸素になってるかな

ならもう全部あげるよ

僕には必要なさそうだし


吐き気の満員電車

社会の縮図はここに

僕もその一部なのかな

いや それすらでもないか


降りた先の街灯

埋まらない空白こころに模範解答

「解なし」なんて嗤ったって

笑えない僕が妬ましい


痺れるように強張る手を

コートのポケットに隠して

吐き出しそうな淡いこと

飲み込んで首を絞めた


ひどく冷酷な秋風よ

あるがままに吹くがいい

頬を伝うこの虚しさを

乾かしてくれるのならば



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