最強の竜種の中でも最弱の緑竜に転生したけど努力と根性で最終進化!いろいろあって朋友の墓守して幾星霜、久しぶりにまったり冒険者生活満喫したい。
俺が長年、続けていた親友の墓守を辞めて里を旅立つことにした件
最強の竜種の中でも最弱の緑竜に転生したけど努力と根性で最終進化!いろいろあって朋友の墓守して幾星霜、久しぶりにまったり冒険者生活満喫したい。
@RyuseiTurugi
俺が長年、続けていた親友の墓守を辞めて里を旅立つことにした件
「はぁ、やはりもう潮時だな……」
腕を組んで、嘆息し、そう
吾輩は竜である。名前はジェイド……と前世の知識にある著名文豪の有名作品の冒頭を一部真似てみた。
そう、俺は前世日本人のゲームとラノベが趣味だったアラフォー社畜派遣社員の記憶をもつ転生者、いや、転生竜である。
剣と魔法があるまるでラノベやゲームの様なファンタジー世界にファンタジーの代名詞で、強い魔物の代表格である幻想生物の頂点の一つである竜に転生できた当初、激しく興奮したときも、俺にはたしかにありました。
だが、現実は転生しても非情である。
竜は竜でも、俺が転生した竜の種類はこの世界の竜の中では最弱とされている
そこ、「なんだ。
雑魚扱いされる緑竜に転生した俺自身が、一番ショックで落ち込んだんだぞ⁉
この現実を直視させられた直後、俺は一日中呆然として過ごしてしまった程ショックを受けた。そんな最弱竜種の緑竜になった俺だが、この世界の赤竜もやっぱり強くてカッコいい最強の幻想生物なのに違いはないのだが、
「ぐぇ……なんで、赤竜の俺達が過去に執着して今に目もくれない奴に勝てない?……」
「フンッ」
俺の足下にたくさん倒れていて、各々
よし、汚い星になって狙い違わず目的の場所へ飛んで行ったぞ。
この世界に新たな生を得たときから、それなりの期間、竜族のカースト最下位の緑竜であった俺。
しかし、本当に運よく、信頼できる友に恵まれ、素晴らしい師に恵まれて、背中を預けられる仲間にも恵まれた。
そして、何度も走馬灯が過った地獄の修行を経て、竜種の中で限られた者しか到達できない最上位の宝石竜の最終進化に至り、いろいろあって幾星霜……。
転生した竜族は前世の寿命、凡そ80~100歳を遥かに凌ぐ長寿の種族だから、年齢を数えるのは40過ぎた位で諦めてやめた。今では何歳になったかは覚えていない。
最終進化の宝石竜になって、今後の人生ならぬ竜生じゃ安泰だと俺は思っていたのだが、実際はそうはならなかった。
しばらくしてから勃発した竜族の存在を一方的に異様に敵視している天使族の過激派達との死闘が始まり、それはこの世界の人間族を始めとした他の種族達まで巻き込んだ大戦に発展した。
俺と同じく厳しい修行を乗り越えて、最終進化まで到達した他の竜族の親友達、共に戦った人間族はもちろん、エルフやドワーフ、多種多様な獣ヒト族などといったいろいろな別種族の仲間達は、その大戦で多くの過激派天使共の手先となって、敵対した同族達と殺し合って、その数を減らし、竜族はというと、俺を残して、大半の多くの仲間達が逝った。
過激派天使達との壮絶な大戦を生き残った俺は、最も親しかった赤竜の最上位宝石竜である
紅玉竜だったそのルベウスは
『ジェイドに頼んだ俺の墓守り、それと俺の同族達を護るのは、ジェイドがあいつ等に愛想が尽きたときまででいい……』
と最期に笑って逝きやがった。
そういえば、ここを護り始めたときの最初の幼竜だった奴が、結構前にこの里の長老になっていたのだったか。
まぁ、
そう思い立った俺はルベウスとの約束のためにこの里を覆っていた結界への魔力供給を止めた。
長年過ごす中で、言葉を交わしてきたことのある里の連中の一部に情がない訳ではないが、それも今となってはもうどうでもよくなった。
結界自体は、不慮の事故で俺が死亡してしまったときに備えて、数か月は俺からの魔力供給なしでも維持できる様に術式を構築してある。
直近で新たに生まれる予定の赤竜はいないから、今後は知らないが、俺の目の届く中で赤竜種の新生児が亡くなることはない。
ここの結界が今はまだやんちゃで可愛い幼竜のあの子等がまともに戦える様になるまでは確実に効果が残っているのを確認し終えると、なぜか俺の脳裏に、大昔、外の土地で植えたが、諸々の事情で、その成長を見守ることができなくなった世界樹の苗のことが頭を過った。
その後、俺は巨大な竜の体から、時々やっている前世の料理の再現や細かい作業をするために使っている、この世界の人間社会の冒険者達に紛れて生活していたときに愛用していた人の姿に変わり、侮っていた俺によって両翼を根本から折られて失った未熟で愚かな若い赤竜達全員から、角と爪、牙といった様々な素材になる部位を蛮行の迷惑料として、あくまで、死なない程度に遠慮容赦なく全て剥ぎ取った。
素材をはぎ取るときに流れ落ちて床を染めた屑共の血などの後始末と、もう戻って来ないと決心したこの里から旅立つ準備を俺は終えて、生きた残骸となった愚か者共のそれぞれの片足首に特製ロープを括りつけて俺は人の姿から再び竜の姿に戻り、時折うるさく喚くそれらを地面に引きずっていく。
幾星霜の年月を過ごし、済めば都と住んでいたけれども、もうこの里に対して、なんの感慨も欠片も湧かなくなってきた俺は確かな足取りでこの〔赤竜の里〕の総責任者で俺に引きずられている連中を嗾けた元凶である当代の里長のいる場所へ向かった。
俺が立ち去って、ルベウスのヒヒイロカネの墓標があった花が咲き乱れていた場所はまるで最初からそこにはなにもなかったかの様に無骨な岩肌が広がっていた。
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