聞いてないんですけど!?

四月三日 午後1時20分

ドッカーン!!

陽真が自宅の扉を開くと同時に爆発音が鳴り響く

「どうした!?何があった!」

慌てて中に入るとそこには……

「えぇ!?なんで爆発するのー!」

ツクヨミと加奈が真っ白のキッチンに立ってる様子だった

「なんでって……換気扇ついてないじゃない。粉塵爆発ね」

「なにそれぇ?」

陽真はため息を吐き、玄関からリビングへと足を運んだ

「空気中に一定量の粉が舞い、粉塵の雲というものが出来る、それに引火したりすると爆発するってやつだよ」

「お、陽真!おかえりー。つまり?」

「お前、朝パンケーキでも作ろうとしてパンケーキミックスを盛大にこぼしたろ?それが原因って事だよ」

「何故その事が!?誰にも言ってないのに……」

「大体分かるっての」

陽真はめんどくさそうにソファーに腰掛けながらツクヨミに説教をする

「ツクヨミ、貴女、しばらく台所出禁ね」

「加奈さん!?私の味方は?」

「する訳ないでしょう?貴女の味方なんてしていたらこの家が無くなるわ」

「むぅ……」

ツクヨミは不貞腐れたようにカーペットの上に身体を倒す

そんなツクヨミを横目に陽真は椅子に腰を掛ける

「では、収穫を聞きましょうか」

「その前に僕の質問に答えてください」

「?なにかしら?」

「俺に話してない事ありますよね?」

加奈は少し視線を逸らす

「主に聞きたいのは入試の事です。他にもありますがまずはそこです」

「入試?なにが不満なの?」

「不満も何も受けた覚えないんですけど!?」

そういわれて加奈は思いだしたように声を上げる

「あぁ、あのことね」

「あのこと?」

「数週間か前に、ちょっとした問題を解いてもらったでしょう。あれ、入試」

「は!?聞いてないんですけど!?」

「言ってませんから」

さも当たり前かのように返答をする加奈にいらだちを抑えつつも次の質問に移る

「次聞きたいのは―――」

「おなか減った!」

「冷蔵庫にプリンあったでしょう?」

「わーい!」

陽真の疑念を遮るようにツクヨミが割って入る

「それじゃ、そういう事だから。お願いね」

「は、ちょま――」

陽真の静止を聞かずに加奈は魔法で消えてしまった

「はぁ……ったく」

「まぁまぁ、ファイト!」

ぽんぽんと陽真の背中をツクヨミが叩く

「やるしかないもんなぁ」

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魔法が使える現代社会で最強です ごーや@常時執筆速度低下 @Goya3389

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