どんなに短くても、その内にはどうにも、壮大な歴史の一部を感じる。
そう思わざるを得ない素敵な作品が確かにこの世にはいくつかある。
この物語をもしも『最初』に読んだなら、きっとそういう宇宙のような広がりを感じていただけると思う。
そして、そう思うからにはやっぱり、背景にもっと大きな物語があるもんだから面食らってしまう。本作もまさにそういうお話です。
今作を最初に読んだ人が少し羨ましい。
しかし、すでにこの物語に至るまでの『歴史』を知っている人にも読んでほしい。なにせ、今までの出来事の後日談だからである。ある種、引っかかりが取れた感覚もある。もしも『シリーズ』を読んでいる方なら、ここを素通りするのはもったいないのでぜひ読んでいただきたい。
それから、本作を後回しにして『シリーズ』から遠ざかってしまうぐらいなら、ぜひぜひここからでも読んでもいいのではないかとわたしは思う。(作者様の意図に反していたら申し訳ないのですが……)
本作を読んでいただいたらわかる通り、ちょっとおっちょこちょいで偏屈な『星の人』たちとの物語を見逃すのは勿体ないと思うので。
作者様は『星の人』シリーズを著されております。
本作は、そのシリーズの第二巻「司令!海賊追うのはいいですが、暴力は控えていただけますか!」の後日譚(100年後)になります。
シリーズを読んだ方には、かつて活躍したキャラクターの名残を感じながら読み進めることになろうかと思います。この感覚が、何とも言えない懐かしさ、寂しさとなって胸に去来します。
「星の人」の運営・管理も相変わらずで、それが本作の危機を招いてしまうようです笑
しかし、シリーズものとはいえ本作だけでも十分に面白く、SFを肌で感じることができます!
主人公・リーシャは優秀な理論物理学者であり、重力発生装置を使った宇宙船を設計、実験を繰り返し、宇宙船を完成させます。ここの描写がまさしくSFそのもの!
「赤方偏移を確認!」の台詞には、「プロジェクトX」並みの感動が!
またリーシャと彼女の警護・サンジヴの、惑星テロンの因習的な文化に挑戦するような生き様、カッコイイです!
是非ともご一読ください!