第9話 明石海峡の影絵
寒空のお昼過ぎの明石海峡大橋。その橋付近にある高速舞子のバスターミナルに降りた。
そこから私は生まれて初めて、明石天文科学館に行くことにした。
目的は二つ。一つがサークルのレジュメ作成のための写真および資料集め。もう一つがここで「銀河鉄道の夜」で有名なKAGAYA氏のトークショウーを見に行くためだ。
山陽電鉄に揺られてすぐ向かいの駅におり、明石天文科学館についた私は手帳を使い半額で中に入った。
中には日本の子午線に関する資料や骨董品、もしくは国宝級の時計の数々が展示されており、私の目を輝かせた。
そんな、私であるが、すぐにお目当ての日本で現役最古のプラネタリウムと対面だ。
UPP23/3、それがこのプラネタリウムの名前だ。これはカールツアイス・イエナ(旧東ドイツのカールツアイス社)製の機械で世界でも六番目に古い天球儀だ。
台座の正面にはカールツアイス社のサインや稼働して何日目とかが書かれており、この機械の古さを誇示していた。
私はその中で出入り口付近のすぐ目の前に陣取って、鑑賞することにした。
今回は副館長が解説員らしく、テーマは「オーロラ」に関する話だった。
そして一発目で私は目を疑った。なんと、周囲の建物は明石海峡大橋を含めて全て影で映し出されたのだ。
今なら写真をデジタル式で映し出すのに「なんと原始的な」と感涙を覚えた。
そしてゆっくりと音楽に合わせて日が沈んで星を映し出し、感激にさらなる追い打ちがかかった。
今度は星座の絵が解説員のライトで映し出されたのだ。これも今ならプラネタリウムとセットで映し出すところだろう。
そんな感動をしているときに私に睡魔が襲ってきた。さっき飲んだ血圧を下げる薬の副作用か、はたまた解説員である副館長の声のせいか分からないが、その眠気に苦しむことになった。
夜空の天井になぜかゲーム「ペルソナ5」のマスコットであるモルガナが星空と共に出た様に感じた。
そんな睡魔と戦ううちに目の前に何度かオーロラの情報が見えはじめて、大昔の日本で見えたオーロラの絵が見えたかともうといいところで終わってしまった。
そうしていまだに寒い明石の外に一旦出て、KAGAYAトークショーまで待つことしたのが地味につらかった。
何しろ近くにコンビニもない住宅街、自販機のスープでお腹を満たして、必死に寒さと格闘していく。
ふと見るとそこには何人かの列が並んでいて、到着までの時間をつぶしていた。
今のうちだ、私はすぐにその列に並んで時間をつぶす。そして次々と大勢の人々がやって来て長蛇の列を作り始めた。
そして、時間になりようやく中に入り始めて、人々は番号とサイン会の渡されるアルファベットの書かれた紙を渡されてすぐにもと来た道を戻り、今度は東側の席に座り、なおかつ目の前に陣取ってKAGAYA氏の到着を待っていた。
そして午後6時半、KAGAYA氏がやって来て、そこで明石に新しくできたプロジェクターで説明が始まった。
ここまでは、今までのトークショーは同じだったか、新しくできたものもある、その中で最たるものが成田空港付近の牧場で走っている蒸気機関車だった。
写真で見せられた蒸気機関車は私も知っていた。何しろ2018年に実費で作った最新型の物でニュースにもなっている。
そうして、プロジェクターでの説明が終わると、最後の締めがやってきた。それは明石天文科学館のキャラクターシゴセイジャーとブラック星博士だった。
なかなか見れない彼らに興奮したことは覚えている。
そして、KAGAYA氏とともに何枚かスマホで撮影した。
その後は、サイン会KAGAY氏の最初期の漫画作品を片手に順番を待った。幸いにも順番は早い方だったため間を30分ぐらいして、回ってきた。
これでこの漫画のサインはフルコンになり私は足早に電車を乗り継いで高松に帰るのであった。
プラネタリウム番組紀行 @bigboss3
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