第7話 大阪科学館と美術館珍道中
大阪梅田はクソ暑い。何しろ関西の中心地であるためここに来るだけでも一苦労だ。
バスに揺られて私の大っ嫌いなアパホテルを過ぎて、大阪市立科学館と目の前にある大阪市立美術館に到着した。
バス停から少し歩いたが、そこには白い建物と埋没している美術館があった。
「まずは、予約を入れて置かないと」
スマホに見たい番組と科学館の内部に予約を入れて中に入った。
中は改装工事ですっかり明るくなっていて、発券もQRコードに変わっていた。
そして中央には日本初のプラネタリウム・カールツアイス社2型が中央の地下1階にカフェテラスに鎮座していた。
このプラネタリウムはかつてはこの建物の前身となる大阪電気科学館の目玉として愛された機械で、日本いやアジアで最初、そして世界で二十四番目に接地されたもので、あの漫画家手塚治虫も通ったという伝説の天球儀だ。
そしてカフェの周囲には1980年代の町並みを再現したカラフルな影絵が周囲を取り囲んでいた。
まず最初にプラネタリウム鑑賞にむかう。この科学館は学芸員による解説番組と、全国展開する番組を交互に移している。
この日は「まだ見ぬ宇宙へ」と「銀河の地図」というもので、前者は倉敷で鑑賞済みだった。
最初に科学館の注意事項を英語と口語に解説し解説員による星空解説が始まった。
ここでは大阪人らしい「北斗の拳」などのアニメネタやお笑いネタが噴出して人々に笑いを提供した。
そして「」まだ見ぬ宇宙へが初まり目が回るほどの展開が始まった。
私の記憶では青年が空を見上げて銀河系を見つめるところで終わるが、この番組は短縮版のため、コーヒーのミルクが混ざるシーンで終わっていた。
そして、私の見慣れた朝日が昇るシーンで一回目は終わる。
外に出た私は大阪電気科学館の目玉にしていた展示物を楽しみ、高度経済成長期時代からの展示物をiPhone11proのカメラで何枚も撮影していった。
それだけ私には物珍しいかった。
その後、次の投影まで時間があるため、すぐ目の前にある美術館で開催されている「ピカソ展」に行くことにした。
二十世紀アートのパイオニアであるピカソの絵を間近で見るなど滅多にないため、すぐ飛びついて感傷にふける。
ピカソと言えばキュビズムを連想するが私が目に入ったのは青の時代プルシアンブルーを使い描いた絵である。
プルシアンブルーは発散性が強く一滴垂らすだけでバケツ一杯の絵の具が食われる厄介者で嫌われ者である。その嫌われ者うまく使うのであるのだからまさにピカソは天才だとすぐに分かった。
そんなピカソ鑑賞をてばやく終えて17時からの投影に向かった。
今回は「ブラックホールを見た」と言う番組で、こちらも倉敷と徳島で鑑賞済みだ。
私はブラックホール自体普通にカメラ撮影して取れよと思ったが、完全に甘いし理解に乏しかった。
光も吸収すると聞いてはいたが、まさかその穴はカメラは勿論視認すら不可というのは予想の範囲外だった。
そのため、ブラックホールそのものではなく周囲のガスの周りを撮影したらしい。
射手座の方角、つまり銀河系にブラックホールがある可能性があることは昔の「世界まる見え」で知ってはいたが、それから20年も経ってようやく撮影されたらしかったのだから遅すぎるだろうとその時は思った。
因みに撮影は世界中の電波望遠鏡を使ってデータ集め半年以上かけて撮影したのだからそうとう苦労したに違いない。
その中でアインシュタインの名を何度も口にしながら物語は進んでいった。
最後の本間氏の説明も入り次の目標に突いて語っていた。
梶裕貴のナレーションと共に番組は終了して再び朝日を迎えて大阪でのプラネタリウム鑑賞を終えた私は蒸し風呂のように暑い大阪の町に出てバスを待つのであった。
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